企画

□深山様(群青)
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とある日、オレは突然ボンゴレ9代目に呼び出された。
あのジジイの呼び出しを食らって、良い思いをしたことはこれまで一度もない。
行きたくねぇ、と愚痴るオレだったが、ルッスやベルに見送られ、渋々とボンゴレ本部に向かったのだった。
まったく、こっちだってクソ忙しいのに、一々呼び出してくんじゃねぇっての。

「ああ、スクアーロ君、悪かったね、突然呼び出してしまって」
「悪いと思ってるなら、もっと真摯に謝ったらどうだぁ」
「テメーは毎度毎度!9代目に何なめた口利いてやがる!」
「毎回毎回仕事で忙しい人間呼び出して平気な顔してるテメーらが悪いんだろうがぁ」

チッと舌打ち。
いつものごとく突っ掛かってきたガナッシュ野郎の舌打ちと被ったせいで余計にイラつきが増す。

「まあまあ、二人とも落ち着いて……」
「しかし9代目……!」
「ガナッシュ、彼と二人で話したいんじゃ。少しの間、出ていてくれるね?」
「…………はい」

悔しそうに顔を歪めて出ていくガナッシュを、べっと舌を出して見送る。
しかし二人で話したい、とは。
幹部に聞かれたくない話ってことなら、やっぱりやべぇ仕事なのか。
幹部達が確かに出ていったことを確認した9代目は、静かに向き直って、息を吐き出す。

「さて、待たせたねスクアーロ君。今回君に頼みたいことなのだが……」
「どうせまた、クソ面倒な事なんだろぉ」
「いやいや、今回はただ、ボンゴレの同盟先のボスの護衛じゃよ」
「はあ?」

首を傾げて眉をひそめる。
そのくらいの仕事なら、ヴァリアーとして普段からもよく請けている。
なぜ今回に限って、わざわざ呼び出されなければならないんだ?

「それがね、彼が今度出席するパーティーは、女性同伴が必須だそうでね」
「……は?」
「君には彼の同伴として、ペアで出席してもらいたいと……」
「は、はぁあ゙!!?」

思わず叫んだ。
いやだって、いつもならオレが適当な女性連れて潜入してるのになんで今回は違うんだ。
しかしこれで、幹部を遠ざけた理由は理解出来た。
奴らには、オレの性別は男だって言ってあるからなぁ。

「それで相手の詳しい情報についてじゃが……」
「ちょっと待てぇ!なんでオレが同伴……オレに女の格好しろって言うのかぁ!?」
「?何か問題があるのかね?」
「問題しかねぇだろぉ!」

何言ってるんだね?なんて顔していやがるが、それオレがすべき顔だからな?
つーかソイツ!自分の命くらい自分で守れよ腰抜け!!

「まあ今回の護衛の目的は、相手の命を護ると言うよりは、ボンゴレの力を見せ付け、牽制とする目的の方が大きい。実は彼には、ボンゴレに反感を抱いているという噂もあってね」
「それこそ、ヴァリアーとして行った方が……!」
「だから、今回の場に限っては女性同伴が必須なんじゃよ。彼も期待していると言っていたし……」
「だからってオレじゃなくても!!」
「私の知る女性の中で、最も信頼できるのが君なんだ」
「……ルッスとか……」
「ハッハッハッ!寝言は寝てから言うんじゃな、スクアーロ君」
「確かに今のは寝言かもしれねぇがぁ!テメー、オレの事馬鹿にしてんだろぉ!」

結局、ジジイの命令を変えることも、無視することも出来ず、数日後、オレは女として、そのパーティーに出席することとなったのだった。
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