企画

□域市様(復活×黒バス)
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ある日、ある夜、日本のとあるホテルのパーティー会場。
そこには様々な者達がいた。

「ったく!何でオレ達がこんなパーティー出なくちゃならねぇんだぁ!?」
「ししっ、いーじゃん別に!
テロリスト潰せんだろ?」
「ボスの為、ヴァリアーの為ならば全身全霊を掛けてこなすだけだ!
それすらも出来ぬならさっさと死ね!」
「んもぅ!みんなして騒いじゃってみっともないわねぇ!」
「ム、君こそ、その派手な格好はこのパーティーには不似合いだと思うけど。」

聞き慣れない外国語で、騒がしく会話をしている集団。

「ホント、ラッキーだよねん。
花宮のお陰で、美味しいもの食べれるんだもんさ。」
「バァカ、正確にはオレの親父のお陰だっての。」
「どっちにしろ………………眠い。」
「何の話してんだ瀬戸?」
「つーか寝るなよ!」

こちらもまた騒がしく会話を交わす、男子高校生の集団。
各々単独では目立つ集団ではあるが、人で溢れ返っているパーティー会場ではその騒がしさは上手く馴染んでいる。
イタリア語で物騒な会話を交わす彼らは、巨大マフィア、ボンゴレファミリーが擁する独立暗殺部隊、ヴァリアー。
日本語で在り来たりな会話を交わすのは、高校バスケ界では『悪童』の名で有名な花宮真擁する、霧崎第一高校バスケ部の面々。

「……あの生意気そうなガキどもが、今回のターゲットなんだろぉ?」
「ターゲットじゃなくて護衛対象よ!
ちゃんと資料読んだのスクちゃん?」
「しし、バッカじゃねーの?」
「ブフッ、バカだな。」
「て言うか、日本語力の問題じゃないの?」
「テメーらぁ……後で覚えておきやがれよぉ!」

視線の先にいる少年達も生意気そうだが、こちらにいる仲間達はその数段上をいく憎たらしさだ。
額にうっすらと血管を浮き上がらせながら、ヴァリアー作戦隊長であるS・スクアーロは数日前のイタリアでの事を思い出した。


 * * *


「あ゙あ!?どういうことだぁ?」
「つまりだな、ボンゴレのシマでヤンチャしてくれやがったテロリストどもを、日本に行って潰してきてくれって事だ。」
「そのついでに、そのテロリストに狙われてる高校生のグループを護衛してきてほしいんじゃよ。」
「ゔお゙ぉい!
テロリスト潰すのは構わねぇがぁ、何でオレ達がガキの護衛なんざしなくちゃならねぇ!?
オレ達は暗殺部隊だぞぉ!」
「うるっせーなお前は!
もうちょっとトーン落として話せ!
あと文句言わねぇで働け!」
「あ゙あ!?やんのかぉお゙い!!」
「やらねぇよ!働け!」

ボンゴレ本部の、ボス執務室に呼ばれたスクアーロを待っていたのは、9代目ボンゴレ、ティモッテオと、門外顧問である沢田家光の二人だった。
彼らに言い渡されたのは、何て事はない、とあるテロリストグループの殲滅任務。
しかし、ついで、と言われたもう1つの任務には、少し納得がいかなかった。

「そもそもぉ、何で高校生のクソガキが、テロリストに狙われてるんだぁ?」
「それが……どうやら彼ら、無自覚の内に、テロリスト達が活動しているところを目撃してしまったみたいなんじゃよ。」
「……オレぁ、ガキのお守りなんざゴメンだぁ。」
「直接会って面倒見る必要はねぇよ。
敵がいつソイツらを襲って来るのかもわかってる。
お前らは数日後に開かれるパーティーで、彼らを守って、テロリスト潰してくりゃ良いんだ。」
「……チィッ!わかったぁ!
やりゃあ良いんだろぉ、やりゃあ!!」

至極不機嫌そうに言い放って、机の脚を蹴飛ばしたスクアーロは、暗殺者らしからぬ大きな足音を立てて部屋を出ていく。

「……家光。」
「なんすか?9代目。」
「机の脚が壊れたみたいだ。」
「アイツ……どんな力で蹴っ飛ばしたんだよ……。」

後日、ヴァリアーの会計に机の修理代の請求書が届くことになるのだが、スクアーロはそれを知らない。


 * * *


……さて、そんな経緯を経て、本来なら接触するはずのない二つのグループが、今、こうして同じ場所に集まっているのである。

「でもよー、あんな奴ら護って、ショボいテロ集団潰すためだけに、王子達幹部が出る必要あんの?」
「なんでもー、あの子達の一人……えーと、花宮って言ったかしらぁ?
その子の父親が9代目と仲が良いらしくて……。」
「ム……、つまり失敗できない仕事って訳だね。」
「それと、ここには堅気の連中が多いから、出来るだけ銃火器刃物は使うな、とよぉ。」
「なぬっ!?聞いてないぞそんな話!」
「べっつにいーじゃん、使っても。
どうせ上が揉み消すんだろ?しし。」
「ま、そーよねー。」
「つまり敵が現れたら気にせず殺れってこったぁ。」
「りょーかーい。」

緩い口調で、殺伐とした単語を並べる彼ら。
もし日本語であったなら、既にこの会場からは放り出されていた事だろう。
……どっちにしろ、物騒な空気と目立つ外見のせいで、パーティーの客からは遠巻きにされているが。

「とにかく、テロリストが来るまでは……」
「しし、大人しくしてるって。
なー、マーモン、飯取りに行こーぜー。」
「ちょっと、掴まないでよベル。」

呑気に二人、仲良く歩いていくのを見て、スクアーロの大きなため息が床に落ちた。
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