群青の鮫_

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「……と、まあそんなわけで二人は無事結ばれたわけだ。素晴らしいことだね。もしかしてその後二人でベッドイン☆とかしてしまったのかい?」
「ん゙ー!んむー!!」
「ちょっ!何言ってんですか!?てか何でスクアーロ縛られてんの!?てか何でチェッカーフェイスがここにいるのーっ!!?」

数日後、綱吉の部屋に訪れたのは、丸眼鏡に着物姿の、川平のおじさん……チェッカーフェイスだった。
縛られて小脇に抱えられていたのは、必死で抵抗しているスクアーロで、ベッドに放り投げられた今は、彼の言葉に首を大きく横に振って、全身で否定を表している。

「実はあの術士に情報を漏らしたのは、この私なんだがね。ちょっと君の回復具合を調べるだけのつもりだったのに、まさかそのお陰で、ギーグの裏切りや不正なんかまで暴いて、壊滅状態にまで追い込むだなんて、流石優秀だね」
「マイペースーっ!!ヒバリさん以上にマイペース!!あとスクアーロそんなことしてたの!?」

マイペースに話続けるチェッカーフェイスに、スクアーロはじたばたと暴れ続けている。
義手のリハビリをしつつ、ヴァリアーに戻って仕事を再開させていたスクアーロは、ある日突然現れたチェッカーフェイスに、拉致同然に連れ去られた。
そして今、彼女は沢田家2階、綱吉の部屋にて手足を縛られ、猿轡を噛まされて、ベッドに転がされている。
何故か10代目ファミリー全員が集合する中、先日の事をまるっとぬるっとバラされて、スクアーロは現在顔を真っ赤にしている。
いっそ泣きたいという雰囲気を背負うスクアーロの拘束を解いてやりながら、山本は少し寂しげな笑顔で言った。

「じゃあスクアーロとディーノさんは、将来結婚するって事だな」
「ぐふっ……!」
「あれ?」
「ダメだよ山本、今のトドメだから!」

倒れて動かなくなったスクアーロを京子とハル、クロームが介抱する。
呻くスクアーロはこの僅かな時間の内に、だいぶ老けたような気がする。

「オレは、結婚なんて、しねぇ……!」
「えー!何でですか!?結婚は乙女の夢ですよ!?ドリームなんですよー!」
「そうですよ!スクアーロさんの花嫁姿なら、きっと凄く綺麗なんだろうなー」
「……その前に、オレは書類上男だ」
「ああ、それなら私が変えておいたから」
「!?いつの間に!!」

流石チェッカーフェイス、仕事が早い。
余りの早さに綱吉達はドン引きしている。
スクアーロ本人はというと、そろそろぶちギレてチェッカーフェイスに襲い掛かりそうな様子であった。
だがそこは大人、グッと耐え、ようやく一番聞きたかった事を聞いた。

「それで、あんたは何でオレをこんなとこまで連れてきたんだぁ!?まさか嫌がらせのため、とかじゃねぇだろうなぁ」
「ああ、それね」

チェッカーフェイスはポンっと手を打ち、居住まいを正す。
忘れるところだった、などと話すのを聞いたスクアーロの人相がいつもの5倍悪くなるのを、周りの人間が宥めながら、チェッカーフェイスの話が始まった。

「いやなに、情報を漏らしたことを詫びるついでに、君に休暇でもプレゼントしてあげようかと思ってね」
「休暇だぁ?んなもんオレには必要ねぇ」
「だが一度ゆっくり休んで、こちらで世話になった人々に挨拶をするのも良いだろう?例えば彼ら10代目ファミリーやこの家の主の沢田奈々、六道骸達黒曜の連中や、まあ他にも色々と」
「最後面倒臭くなっただろてめぇ!」

だが改めて挨拶、というのは悪い提案ではないし、どうせ今の腕の状態ではヴァリアーの仕事だってほとんど出来ないのだから、数日抜けたところで大して問題はないだろう。

「……まあ、そうだな。少し休むのも良いかもしんねぇな」
「ならこの家に泊まると良い。それでは私は失礼するよ」
「ちょっ!別に良いけど何勝手に他人の家に泊まらせようとしてんですか!!」

そしてチェッカーフェイスは去っていった。
それと入れ替わるように、窓からリボーンが現れ、ニヒルに笑う。

「ちゃおっス、スクアーロ!話は聞かせてもらったぞ」
「リボーン!お前どこにいってたんだよ!」
「ちょっと衣装を用意してきたんだぞ」
「衣装?」

スタン、と床に降りたリボーンは、スクアーロの目の前に立つと、ニヤニヤ笑いながら話し掛ける。

「ついにあのへなちょこディーノと恋人同士になっちまったな。ドンマイ」
「ドンマイってどういう意味だゴラァ!!」
「書類上でも無事女に戻った訳だし、せっかくだからオレからもお前にプレゼントだぞ!」
「話聞けてめぇ!!」
「マイペースが帰って、またマイペースが来たのか……!」

因みに現在頭を抱えてるのは、スクアーロと綱吉だけである。
他の者達はニコニコしながら見ている。
そしてリボーンが窓に向けて合図すると、玄関を開く音とバタバタという足音が届き、最後にドアがバタンと開く。
その向こうからどデカい風呂敷を背負って現れたのは……

「スクアーロちゅわぁぁあーん!!ひーさーしーぶーりぃー!」
「げっ!てめっ、シャマル!?」
「再会のチューしようぜ……ブベフッ!?」
「こっち来んな変態ヤブ医者!!」
「もー、ツンデレだなぁスクアーロちゃんはぁ♪」
「カッ捌くぞこの猥褻物!!」
「ちょっ!オレの部屋で殺人事件は起こさないでよ!」

現れたのはDr.シャマルである。
部屋に入ると同時にスクアーロに飛び付き、殴り飛ばされてもめげずに迫るシャマル。
慌ただしくなる仲間達を余所に、彼が落とした風呂敷包みを見て、クロームが不思議そうな声でその中身の名を言った。

「お洋服……?」
「うお!こんなとこにも美少女発見!
お嬢ちゃーん!オジサンとチューしよ〜♡」
「懲りろ猥褻ドクター!!」
「漫画のタイトルみたいだなー!」
「ぬおお!極限素晴らしい逆十字固めだ!是非我がボクシング部に……」
「逆十字固めは柔道技だろうが!この極限ボクシングバカが!!」

彼らはどうやら忙しいようなので放っておくことにし、避難してきた綱吉や、京子、ハルと一緒に風呂敷の中身を出していく。
中から出てきたのは、大量の婦人服や、メイド服やらナース服やらのコスプレ用の服。
手に持って首を傾げるクローム達に、リボーンがその用途を話した。

「それはスクアーロへのプレゼント用だぞ。せっかく彼氏が出来たんだからな、女らしく着飾らせて女である自覚をさせようって魂胆だぞ」
「魂胆って……!でも良いかもね!スクアーロってちゃんとした格好したらけっこう綺麗そうだし……」
「私達もお手伝いします!!ね?京子ちゃん!クロームちゃん!」
「もちろんだよ!皆ですーっごく綺麗にしてあげよう!」
「でも……嫌がりそう」
「それは問題ねーぞ。ビアンキが体を麻痺させるポイズンクッキングを作ってくれたからな」
「もちろんその後も手伝うわよ」
「はひっ!ビアンキさんがいれば百人力です!」
「あれ、どうしよう。オレ、凄くスクアーロの心身が心配になってきたんだけど」

そしてビアンキのポイズンクッキングは無事(?)スクアーロの顔面に叩き付けられ、男子達が廊下に出たところでスクアーロ改造計画が開始したのである。
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