群青の鮫

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「……報告」
「はっ!ユニチームはγ、白蘭の活躍によりヴェルデチームのM.Mを倒しますが、トリカブト、太猿、デイジーが脱落。残りは4人」
「ヴェルデチームは六道骸、フランの2人の術士とヴェルデの作り出した装置の活躍により、ユニチームの3名とコロネロチームのオレガノ、ターメリックの2名の計5名の時計を破壊。戦士は残り4人。あと2つのバトラーウォッチの所有者は決まってません」
「コロネロチームは残り3名、残りのバトラーウォッチは所有者おらず」
「そのコロネロチームですが、ボスの家光氏が綱吉氏の時計を壊さないことを条件にリボーンチームと同盟を結びました。リボーンチームは笹川了平氏が撃破され、残りは4人。残り2人の戦士は決まってません」
「風チームは雲雀恭弥が一人で戦う模様です。本日の戦いでは笹川了平氏を撃破」
「以上で報告を終わります」
「あ゙あ」
「…………」
「…………」
「あの、スクアーロ隊長?我々はどうすれば……」
「……あ゙あ、下がっていいぞぉ」
「は、はい……」

部下が部屋から出たのを見て、ほうっとため息をついた。
六道チームは、当初の予想通りかなり厄介な相手になりそうだ。
特にヴェルデの装置……幻術を限りなく本物に近付ける装置……いや、本物にしてしまう装置、だろうか。
あれじゃあ武器の在庫も気にしなくて済むし、別人に成り代わることも簡単に出来てしまう。
……うちに欲しいぜ。
ボーッと窓の外を見ながら、とりとめのない考えを巡らせる。
耳を触って、さっきのことを思い出す。
触れられて、ドキドキして、熱くなって、……て、何考えてんだ、オレは。
そういえば、昔マフィアに飼われて娼婦の真似事をさせられていた友人が言っていた。

――いい!?ちょっと良いな、って思ってもそこで恋と思っちゃダメよ。寝ても覚めても、その人のことを考えるようになったら間違いなく恋よ――

「……」

流石にそこまでは、ないけども。
でも、ふとした時に思い出して、ドキリとする自分がいる。
思い出したように、突然、今どうしているだろうと思っている。
恋……、恋ねぇ……。

「意味不明……」

呻きながら頭を掻き毟って、ソファーのクッションに顔を埋めた。
なんでこんな時に……。

「ん"〜……」

バフッと沈んだソファーで、また野郎のことを思い出して、答えのでない堂々巡りが続いていった。


 * * *


「スクアーロ、変じゃないかい?」

黄昏れてみたり、ソファーに寝転がって固まったり、意味のわからない行動を繰り返しているスクアーロを遠目に窺いながら、ボソッと呟いたマーモンにベル、ルッスーリア、レヴィは大きく頷いた。
ザンザスは興味がなさそうにウォッカを傾けている。

「お便秘かしら?」
「たぶん違うと思うけど」
「しし、またボスに何か言われたんじゃねーの?」
「ざまあみろだ」
「んもう!いつまで怒ってるのよレヴィは!!」
「いつまでもだ!!」

一部はともかくとして、ソワソワと落ち着かない様子でスクアーロを見ている。
いつも落ち着いているか忙しそうにしているのに、今日は忙しい訳でもなく、ただただ意味不明な行動をとっているのだ。
周りにいる者だって落ち着かなくなる。

「隊長、ついに過労で脳ミソシャットダウンしちゃったんじゃねー?」
「それならここに来る前にしてたでしょ。その後はいつもより仕事量は格段に少なかったはずだし、もしかして体壊したんじゃ……」
「ボスに何度殴られても死なぬスクアーロがか?」
「ムム……」

どれだけ推測を飛ばしあったところで、正解にたどり着くことはなく、時間だけが徒に過ぎていく。
そして、数十分後、ルッスーリアがついにとある回答にたどり着いた。

「そうよ、わかったわ!スクちゃんきっと女の子の日なのよ!!」

その回答は正解とは程遠いものだったが、何も知らない一同はなるほど、と納得した様子だ。

「そうか、それなら多少情緒不安定でも仕方ないかもしれないね」
「女って面倒だな」
「スクアーロも苦労するな……」
「ここは温かく、見守ってあげましょう」

結果、ヴァリアー幹部の間によくわからない結束が生まれることとなったが、本人はそのことを知るよしもなかった。
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