群青の鮫

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「なあ、リボーン。ずっと気になってたんだけどさ、この間スクアーロとの電話で言ってた、がっと……なんちゃらって何のことなんだ?」

青葉紅葉と笹川了平との勉強勝負が行われた晩。
食事を終え、寝る準備をしながら、唐突にツナが聞いた。

「『ガットネロ』だぞ。ちゃんと覚えとけダメツナ」
「うげっ!?何すんだよリボーン!!」

その問いに正しい名前を(蹴り付きで)教えたリボーンは、天井から吊り下げたハンモックにちょこんと座り、少しだけ間を置いてから話し出す。

「……ガットネロってのは、裏社会で密かに噂される暗殺者のアダ名だぞ。日本語だと黒猫って意味になるな」
「へー……、どんな奴なの?」
「誰も姿を見たことがねえ。声を聞いた者もいねえ。その存在すら疑われてる、全てが謎の暗殺者だぞ」
「こ、こえー!!」

淡々と語るリボーンとは逆に、ツナは鳥肌を立てて顔を青くする。

「結果だけしか残らねーからな。その本名すら不明。だが手口が同じで犯人が不明の事件が、ある時を境に多発し始め、その時からガットネロの存在が疑われ始めた。そしてその事件が、ボンゴレの関わるモノばかりだったことから、ガットネロはボンゴレの者ではないかとの噂も流れた。奴にはいつの間にか、『ボンゴレの掃除屋』『ガットネロ』『インビジブル』『サイレンサー』などのアダ名がつき、裏社会でも恐れられる存在となったんだぞ」
「そ、そんな強そうな奴がいるの!?」
「バカツナが。お前はガットネロと面識があるんだぞ」
「へ?…………まさか、スクアーロ!?」
「そうだぞ。電話で名前を出したが否定されなかったしな」
「そ、そういえば未来で骸もそんなこと言ってたような……」
「骸がどこで知ったかは知らねーが、考えてみれば色々と辻褄が合う。ガットネロが出現し始めたのは約8年前」
「……あ!それって確かXANXUSが……」
「そうだぞ。ゆりかごの起こった直後からなんだ。それに今考えてみればゆりかごを起こしたヴァリアーに対する罰は軽すぎた。スクアーロが裏で取引し、ボンゴレでも処理しにくい仕事をこなす代わりに、ヴァリアーへの罰を減らしてもらったんだろーな」
「そ、そうだったんだ……」
「それに未来で、スクアーロが言ってただろ。ゆりかごの後、しばらく一人で活動してたってな」
「そういえばそんなこと……」
「恐らくそれがガットネロのことだったんだな」

ガットネロとスペルビ・スクアーロの繋がりを語ったリボーンは、おもむろにパジャマに着替え始める。

「詳しいことは、今度会ったときにねっちょり聞くっつったからな。その時、オレの推測が正しいかどうかはわかるはずだぞ」

それを聞いたツナは、スクアーロに同情する。
リボーンのねっちょり尋問……。
スクアーロは生きて戻ってこれるのだろうか。

「寝るぞ。明日は水野薫のところに行くからな。覚悟しとけよダメツナ」
「うわー!嫌なこと思い出させるなよ!!うぅ……超こえー!!」

ガットネロ云々に関しても、水野薫の警護に関しても、不安ばかりで眠れない。
寝返りを繰り返しながら、一人眠れない夜を過ごすツナだった。
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