群青の鮫

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アクーラは、ため息をついていた。
今は空港を出て、日本にいる継承式参加予定のファミリーアジトへと向かっている。
9代目の乗る飛行機に同乗したのは、9代目にここまでの任務遂行状況の報告をするためだったのだが、アクーラにとって、9代目ファミリーと過ごす時間は苦痛でしかなかったようだ。
肩が凝ったとばかりにコキリ、コキ、と音を鳴らして肩を回す。
もう一度、大きなため息をついた。
今日この日までの間に、ほとんどのファミリーについては調べを終えている。
昼も夜も動き回ったお陰で、何とか継承式までに間に合いそうだった。
だが……。
アクーラはジェット機内での出来事を思い出す。

「今回、9代目と『罪』の警護はオレ達守護者が担当する」
「……なぜ」
「お前には任せられないからだ!!いいか!?9代目のことは当たり前として、『罪』はボンゴレの至宝なんだ!!テメーみたいな信用ならねー奴には任せられねぇ」

その言葉に、アクーラは心外だと思う。
といっても、アクーラの表情はほぼ見えず、彼らには何を考えているのか予測もつかなかった。
仕方ないとばかりに、アクーラがボソボソと言葉を紡ぐ。

「……自分からすれば、あんたらこそ信用ならない。前線から離れて久しいあんたらが、9代目と『罪』を本当に守りきれるのか」
「んだと!?」
「……我々とて大マフィアボンゴレの守護者。その心配はない。それに、会うたびに声も顔も、喋り方すらコロコロ変えるお前を、本当の姿を頑として見せないお前を、信用なんてできるはずもないだろう」
「見た目で人を判断するのは、愚か者のすることだ。自分が今まで仕事を失敗したことはあったか」
「ああ、ねーよ!だがオレ達はお前を信用できねーし、これは既に決まったことだ」
「……ふん」

『罪』を守るなんて、あのバカどもに務まるのか。
いやそもそも、『罪』やボンゴレIX世を狙う者が現れることは考えにくい。
狙っている奴は大勢いるが、アクーラ自身がそれを一つ一つ潰しているし、ボンゴレへの手土産に敵の首を差し出し、更に信用を深めようと狙うファミリーも数多い。
自分が継承式前に全て潰せば良い。
それで問題は解決する。
頭を軽く振るうことで苛立ちを振り払い、アクーラはヘルメット越しに前方を睨んだ。
日本で活動するファミリーも多くいる。
仕事はまだ、たっぷりあるのだ。
そしてアクーラには、時間がない。
乗っていたバイクを唸らせて、アクーラは目的地へと走り出した。
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