群青の鮫

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「ぶはーーっははは!!!勝負には勝ったくせして最後がエサとは、あのドカスが!!過去を一つ、清算できた」

XANXUSの笑い声が静かな空間に響く。
仲間が死んだのに、何故笑っていられる?
そんなことは日常茶飯事だとでも言うつもりなのか?
ツナ達はみんな、青い顔をして一部始終を見ていた。
こいつらはまだ中学生なんだ。
酷な戦いだな。
別にオレが、こんな惨い死に様を見慣れているわけではないけれど、こいつらにとって人の死なんて初めてに等しいはずで、その初めてがこんな残酷なモノだなんて、同情を禁じ得ない。

「明晩の対戦は……、霧の守護者同士の対決です」

ツナたちの気持ちなんか意にも介さないチェルベッロたちの無感情な声が次の戦いを告げる。
そうだ、例えスクアーロが死んだとしても、今回の戦いは山本の負け。
今からチェルベッロが山本にリングを渡そうとしたって、アイツはきっと受けとりはしないだろうから、リングはザンザスの手に渡ることになる。
ツナ達にはもう、後がない。

「おいリボーン来たぞ!!どーすんだよ!?霧の人って一体……!」

未だ現れない霧の守護者に、ツナが慌ててリボーンに聞く。
リボーンはいつもと全く変わらないニヒルな笑みで不敵に言った。

「いよいよ奴の出番だな」

霧の守護者についてはオレもよく知らないが、リボーンがそう言うんだ。
安心して良いだろう。
チェルベッロが明日の組合せを告げたのを合図に、三々五々に解散し始める。
オレもポケットの中のケータイの振動を感じて、すぐさま学校を後にする。
バイブ一つ、作戦成功の合図だ。
予想していた結果とは変わっちまったが、どうやら部下は上手くやったみたいだった。
掛かってきた番号に電話を掛け直す。

「――もしもし、オレだ。スクアーロのこと、回収できたか?」

そう、オレは今回の勝負に山本が負けることを予測し、チェルベッロが大量の水を用意していたことから、今回のフィールドを予測して、水中に山本を救い出すためにダイバーを潜ませていたのだ。

『そ、それが回収には成功したのですが……』
「助からなかったのか?」
『いえ!まだ生きています。ですが、その、不思議なことが、ありまして……』
「うん?何だよ、歯切れ悪いな」

どうにもハッキリしない様子の電話相手に、頭の中がクエスチョンマークで一杯になる。

「とりあえず落ち着いて説明を……」
『あっ、ちょっ!何するんですか……うわっ!?』
「!!おい、どうした!?」

突然ドタバタと争うような物音がして、相手の声が途切れる。
数秒後、向こう側から聞こえた声は、オレの部下ではない、だがオレも知っている声に変わっていた。

『ぃよぉ〜跳ね馬!こちらはシャマルだぜ』
「はっ!?シャマル?なんであんたが!!」
『スクアーロ保護してんだろ?オレが治療してやっても良いぜ?』
「はぁっ!?」

突然の展開に頭がついていかない。
何でシャマルがここに、つーか、シャマルって女性しか治療しないんじゃねーのか!?

「……スクアーロ、確かに髪長いし線細いけどよ、男だぜ?」
『あめぇな、キャバッローネのボスも。オレの見立て通りなら、アイツは女だ……!』

正直に言うと、その時は遂にシャマルもボケたのか、とさえ思ったぜ。
だが、何とかシャマルから電話を奪い返した部下の言葉に、オレは愕然とするより他なくなった。

『そ、そうなんですボス!S・スクアーロは、女だったんですよ!!』

…………ま、マジかよ。
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