記念企画部屋2
□さようなら神様
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仁王の言葉は、カチリ、と俺の中の何かに填まった。
神様じゃなかった、幸村君。
幸村君は、神様になりたかった?
なりたかったなら、
俺達のやる事なんて決まってる―――。
「敗けることは絶対に許さん!!」
真田が言った。
それから俺達は、全力で走った。
止まった瞬間に何かの喪失にきっと気づいていた。
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「……そう、解った。」
関東大会の決勝で敗けた時、幸村君はポツリとそう言って俯いた
「俺の、せいだね。」
殆ど音にはなっていない唇の動きが、何でおれなんかに見えてしまったんだろう。
そんなモノ見えたって、神様の1番近くに居たはずの君に、かける言葉なんか、俺は持たないのに。
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「ただいま。」
そう言って幸村君が微笑んだ時、身体が震えた。
喉が震えて、ラケットを握る手も、震えてる。
「何泣いてるの?丸井。」
「うん、嬉しいから。」」
「…そう、ありがとう、でも生憎、泣いてるヒマ、無いから。」
一応の礼と共に、素っ気なくそう言われた。
「………………うん。」
やっと、そう返したけれど。
腹が立ったわけじゃない。
それよりも、
感じたのは、虚無感と、違和感。