記念企画部屋2
□未来への約束
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すぐには治らないのだと知った時、逆に心は決まったのかもしれない。
この判断が、正しいか間違いか?
そんなの間違いに決まってる。
そんなの一瞬だって考えなくたって出る答えだ。
間違ってるなんてこと、初めから解ってる。
解ってるんだ、でも……。
手塚なら、千歳なら、俺の思いも解ってくれるかな?
我が侭で、ごめんね、皆――。
*******
すぐには治らない。
海外で手術をしなければ。
それはつまり―――。
ねぇ真田俺が病気で倒れた時、君が叫んだこと、意識の遠くの方だったけど、ちゃんと、聞こえてたよ。
約束……。
海外に行くという事は、皆から離れることだ。
その海外での手術だって、成功するか解らない。
そんなの、いつになれば本来の俺に戻れるか、全く解らないのと同じだ
それじゃあ意味が無いんだ。
今テニスをすることが、正しいかどうか、
そんなの関係無いんだ。
「約束、守らせてよ、弦一郎、蓮二。」
「しかし精市、」
「どうせ、終わりなんて見えないんだよ、蓮二。だったら俺に、約束、果たさせてよ。そうじゃなきゃ、」
そうじゃなきゃ、と繰り返した2度目の声が震えていた。
「終わりも見えなくて、約束も果たせなくて、約束、果たしたかったのにって、そんなことばっかり考えて……、」
「不安ばっかり、」
溢れて、止まらなくなるんだよ、と言った、自分の声があまりにも頼りなくて。