記念企画部屋2

□想いが重なるその前に
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『君の目に映る青空が……』と、唱うそれを聴いて、泣きたくなって、目を閉じた。


大会の時、あの人はずっと蒼の空を見ていた。

もう飛べないと知っている空を。

どんな夢見てたんですか?と訊いた時、蒼い空の夢と言った。





千歳先輩は最近真面目に学校に来る。

どうしてかなんて訊いたことは無いけどきっと……。


『ねぇ、いつか君は、僕のことを、』




*******


図書室に、鍵をかけた。

場所が場所だけに、そんなにしっかりはしてないなりに防音になっているから、外に声が漏れることは無い。



「なんで皆に言わんのですか?左目も、悪くなってくって。」


「…………そぎゃんこつ、言わんでももう、何となく気づいとうばい。」


金ちゃん以外は、と優しく微笑う。


「……なら、質問変えます。なんで俺には話したんですか?」

「うん、ごめん。」


「……謝れって言うてるんやなくて。」


白石部長にだけ話した、でも、遠山にだけ話したでも納得しただろう。


部長は部長だったし、遠山は多分、この人の夢のひとつだ。

あるいは、師範にだけ話した、でも、副部長にだけ話したでも、何となく納得出来たと思う。

どうして俺だったのか、まるで解らない。




ポツリと、落とすように、応えはあった。

「慰めも励ましも欲しくはなかったけど、片手に乗せられるくらい少しだけの優しさは、欲しかったから。」


方言ではなく言われたそれは、だから千歳先輩の言葉じゃないみたいだった。

あるいは、そう聞こえるように、意識的に方言を排除したのかもしれなかった。


でも何となく、言いたいことは、解った。
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