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□拍手SS6
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石田の立場からすると、千歳と橘の話を聞いていると複雑な気分になってくるというのが正直なところだ。
なにせ結果的にではあるが、橘に弟を“預けた”身だ。
複雑な気分になってくるというのは、橘を庇いたくなるとかではなく、不安になってくると言った方が正しい。
親友に怪我をさせる人間に弟を、と。
もちろん千歳の話を聞く分には、橘の人間性そのものに根本的な問題があるとはそうそう思わないが、現実に、親友に、医者が再起不能と言うだけの怪我を負わせているのだ。
不安になっても仕方ないことだと思う。
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「千歳はん、流石に全国前やし、目の具合悪無いんなら練習来いって白石はんが。」
「それで銀さんがお迎え来てくれたと?」
屋上で空を眺めていたらしい彼は振り向かずにそう微笑った。
「調子、悪いんか?」
「いや、そうでもなかよ。……銀さん、」
「ん?なんや?」
「そぎゃん心配なかよ。弟君。」
やはり振り向かないまま空を見上げて彼は微笑った―――。