記念企画部屋
□変わらない明日のために
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目を、覚ました、はずだ。
思わず手をやって確かめる。
目蓋はちゃんと開いてる。
なのに、暗い。
真っ暗で、何も見えない
「あ……っ、ぁ、ぁ゛ああぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ―――」
暗い暗い暗い暗い暗い暗い…………、
意味なんか無くても構わない。
「ぁぁぁぁあああ、あぁぁぁぁぁあああぁぁぁ…………っ」
音を、作りださないと、生きているのかも解らなくなりそうで、狂ったように叫んだ。
叫んでないと、死んでしまう…………っ
〜〜♪♪♪
どれぐらい叫んでいたのかも解らない
ただ自分の叫び声以外の音に、手探りで必死に手を伸ばして探す。
「ど、こ……っ、どこね……っ!」
早くしないと音が、消える。
電話が、切れる……っ
布団から起き上がることも出来ないまま、探す。色んなものに触れたような気がしたが、解らない
「あ……っ!」
見つけた携帯電話を、手の感覚だけを頼りに取り、通話ボタンを押す。
相手が誰かも解らないままで。
「やっと出よった!千歳ぇ、お前いい加減朝練…「……っ、」
「なんや、どないした千歳?」
上手く声が出なくても、泣いていることは伝わったらしい。
暗い、暗い暗い暗い暗い暗い…………、
「し、らい、し……っ」
白石っ、謙也でも財前でもユウジでも小春でも、誰でもいいっ!
「暗、か……っ。怖……っ!」
「え、何や千歳、暗い、って……」
白石の頭に、嫌な考えが浮かぶ。
そして、受話器の向こうから、悲鳴が聞こえた。
「く、暗かっ!み……、見えんとぉぉぉぉぉ……っ!」
言葉の最後はもう、白石に向けたものではない、叫びで、だからすぐ傍で白石の電話を聞いていたレギュラー陣には嫌でも聞こえた。