Dream house

□2名様、あの世へご案内〜
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(…アレ?私、今まで何してたんだっけ?………駄目だ、全然思い出せない!!…というか、此処はどこ?)



……―――ハッ!!


目を覚ますとそこは、大きな道路の交差点だった。
私は今、その真ん中に立っている。

普通に考えてそんな所に立ってたら、明らかに車に轢かれて危険だ。
でも、私は今そこに立っている……というか、縛られてる?

動かそうとしても足が言うことを訊かない。
まるでアスファルトから突き出てしっかり固定された枷を、足にはめられて動けなくしてあるみたい…

そんな事を思ったとき、突然一台のバスが私目掛けて走ってきた。
私は慌ててその場から逃げようとするが、やはり足が動かない。

そうしている間にもバスは迫って来ている。
バスは目の前に居る私の存在に気付いていないらしく、普通に走らせている。

(こんなに思いっきり目の前にいるのに、全く存在に気が付かないってどういうこと!?)


そう心中で苛立ちを叫んだが、もう遅かった。
私の鼻先数十cmの所には、もうあのバスがあった。

私は『もう駄目だ!』とばかりに腕で顔を覆った。


…しかし、いくら待っても激痛がこない。
というか、普通車に跳ねられたら体が宙を舞うはずだが、私の体はビクともせず足は地面に固定されたままだった。

恐る恐る視界を覆っていた腕を退かすと、なんと幾つもの車が私の体をすり抜けていってるではないか!!

私は慌てて自分の体を確認した。手も、足も、体も顔も、全てが透けている。
手を太陽にかざして見てみても、太陽の強い日差しが手を通り抜け、直接瞳に射し込んできた。

いきなりで眩しかったので、私は思わず目をギュッと瞑り下を向いた。



目の痛みが大分治まり、私は今の自分がどうしてこうなったかを考えてみた。

でも、いくら考えても何も思い付かず、考える度に頭に激痛が走ってしまう。


しかし、何か心当たりはないかと私は必死で思い出そうとした。度々起こる激しい痛みと闘いながら…

すると、考える事に集中しすぎて気が付かなかったのか、突然私の肩を誰かの人差し指が チョンチョン、と2回つついた、ような気がした。


『あ〜ゴメンね!今大事なこと考えてるから後にしてくれない?』

私は誰だか分からない後ろに居るであろう人差し指の持ち主にそう言った。

そう言えば諦めてほっといてくれるだろうと思っていた。だが、後ろの人物はまた人差し指で私の肩を今度は3回つついた。

『だーかーら!今大事な考え事してるから邪魔しない……!』

そう言っている途中、ふとある事に気が付いた。

私はどういった成り行きでか、今は幽霊になっている。
幽霊というものは、当然生きてるものに触れることも触って貰うこともできない。
第一よっぽど霊感が強くない限り一般人に幽霊など見える筈がない。

そんな状況で私の肩を指でつつくということは、後ろの人物は私が見えているし、私に触れることもできる!!


…ということは、私がどうして幽霊になったかの理由など色々聞けるかもしれない!

そう瞬時に判断し、私は顔に微笑みをつくったまま体を右に90度回転させ振り向き、後ろの人物に体の真正面を向けた。


……が、そこにいたものは…







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