軌跡の先で…
□1.旧校舎のディアボロス
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life.0
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私立駒王学園、放課後屋上で一人ヴァイオリンを奏でている隻眼の女生徒がいた。
腰まである黒い髪を風に靡(なび)かせながら唯一眼帯をしていない目を閉じ旋律を奏でている奏者の名前は兵藤昴、生徒達から"女紳士"と呼ばれる2年生である。
彼女は部活に入っていないため放課後こうして屋上でヴァイオリンを弾いていることが多いのでよく聴きに来る生徒がいるが今日の聴衆は一人しかいなかった。
旋律が終わりを告げ、次に屋上に響いたのは拍手だった。
パチパチパチ
?「相変わらず素晴らしい演奏でしたわスバルさん」
『褒められても今日はこれで終わりですよ、姫島先輩』
昴の演奏を聴いていたのは3年生の姫島朱乃であった。
朱乃「あら、別に"朱乃"と呼んでいただいて構いませんのよ」
『仮にも先輩に呼び捨てはさすがに頂けないので』
朱乃「相変わらず堅いですわね」
『それはどうも』
そんな会話をしながら昴はヴァイオリンを片付けている。
このような会話はもういつものことのようだ。
朱乃「そういえばまた剣道部に誘われてらしいですわね?」
『・・・相変わらず情報早いですね』
どこで知ったのか今でも不明だが昴が独学だが剣術をしていることを剣道部主将にバレたため時折勧誘されている。
朱乃「褒めていただいて光栄ですわ」
『褒めた覚えはありません。
知っていると思いますが断りました』
主将自らの勧誘なのに昴はその誘いをなぜかすべて断っている。
入部すれば間違いなくレギュラー入り間違いなしの腕前のはずなのにだ。
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