RKRN短編&SS&シリーズ

□鈍感くんと超鈍感くん
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「へ、へっ兵太夫。今落としたよ…これ」

「あ、ほんとだ。ありがと金吾」

「ううん、いいよ、別に。じゃ、僕委員会に行くね!」

じゃあ!と元気に手を振って走っていってしまった。僕と同じクラスで思い人の皆本金吾。
今日も爽やかで、正直にカッコいいと思う。
くのたまの奴らなんかは「団蔵くん男前!」だの「庄左ヱ門くん素敵!」だとか言っているけど、やっぱり僕は金吾が一番だと思う。

だけどそんな金吾が最近とっても余所余所しい…のだ。

掃除をしていた時に手が偶然触れた瞬間、バッと目にも見えぬ速さで手を引っ込められた時にはかなり悲しかった。
嫌われているつもりはなかったんだけどなぁとぼんやり思っていたら視界が水で一杯になって心が痛くなった。
きっと金吾、あんなかんじだけど割りと潔癖症っぽい所あるから雑巾を持っていた僕の手と触れたのが嫌だったんだろうな……
そうじゃなくてもそう思いたい…
それほど僕は自分で思っているより金吾にぞっこんらしい


さっき拾って貰った手拭いを立ち止まってじっと見つめる。
お前は良いよな、金吾に触れてもらって…無機物の癖に羨ましいよ。あぁ実に憎たらしい

そう思いながら手拭いをぎゅっと握り締め薄い胸に押し当てた。
僕の胸も女の子のように柔らかい脂肪でもついていたら金吾も意識してくれたのだろうか…いや、あいつは初心だから駄目か…




「兵太夫…!?大丈夫?気分悪いの?」

あれ、やだなぁ僕幻聴まで聞こえるようになっちゃったの?洒落になんないよ…

すると金吾(幻聴のような)は僕の肩を軽く揺さぶって顔を覗き込んできた。あれ、本物なんじゃないこれ?

「金吾…?」

「うん、僕だよ。大丈夫なの?保健室行く?」

「大丈夫、なんでもないよ心配しないで。ほら委員会なんじゃないの?」

「……だって今日の兵太夫なんかおかしいんだもん、心配しないわけないだろ?」


もう、またそうやって僕を期待させて。こういうときに鈍感なのって困るよね。
でも胸の奥がキュンとしてしまうのは不可抗力だ!だって本当にかっこいい!


「そう…、心配してくれてありがとう。僕は本当に大丈夫だから金吾は委員会に行ってきな」

「でも」

「ほら、お前の所の委員長の声がするぞ。行かなきゃ怒られちゃうかもよ!」

「う、うわほんとだ…!ご、ごめん兵太夫行ってくる!」

「ごめんは余計だよー。いってらっしゃい!」


ちゃんと普通に喋れてたかな、うん。大丈夫いつも通りの笹山兵太夫だった筈だ。
金吾の背中も見えなくなったことだし、僕も部屋に帰ってこれからどうするか三ちゃんと作戦を考えようっと。


さて、まずはどう意識させようかな!









「金吾ぉー!探したぞ!ランニングの途中で急に走っていくから吃驚したぞ!何かあったのか?」

「すみません七松先輩!ちょっと…」

「まぁ、いつも真面目な金吾が抜け出すくらいなんだからなにか大切なことでもあったんだろ?」

「……はい、ちょっと最近ほっとけない人がいまして……なんというか…一人で泣いてるような気がしたんです。」

「ふーん……。そっか!頑張れよ!!」

「はいっ!頑張ります!!……はい?七松先輩なにを…」

「よーし金吾は抜け出した罰として10周追加!!ほら走るぞぉ!いけいけどんどーん!!」

「えぇえっ!!ちょ、ちょっと待ってくださいよ七松せんぱぁあい!!」





無自覚振り向き済み!






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麻太郎様に貰いました!!
金吾×兵太夫はあはあ////
ありがとうございました!!

2011.9.4

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