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□約束
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「結衣、それ一口くれへん?」

『えぇで。はい、あーん』

「あ―...ん、んまい!
 おおきにな!結衣愛してんで」

『知っとる。うちもやで』



端から見たらバカップル。
やけどうちらはカップルとちゃう。
好きとか言い合うけどそんだけ。
付き合おうってお互い言わへんし。

友達以上恋人未満。
これがうちらの関係。

昼休みの中庭でこんなこと言い合うんは、
もはや日常の一つみたいんなった。
坊が呆れたよな声を出す。



「お前ら、イチャつくんなら
 よそでイチャつけや」

『イチャついてへんもーん』

「坊ったら妬いてはんの―?」

「ち、ちゃうわ阿呆!!」

「坊、落ち着いて...」



坊が怒って、廉造がからかって、
子猫さんが坊をなだめる、
お決まりのパターン。
やっぱ落ち着くわ、こぉゆん。
幼なじみ万歳。


うちらは小さい時からいつも一緒やった。
4人で遊んだりイタズラしたり。
その頃からうちはずっと、
廉造のことが好きやった。
お嫁さんにしたる、
そないなこと言うてもろて、
大はしゃぎしたこともあった。
 


「そろそろ戻ろか」

「せやね」



4人で教室に向かう途中、
廉造をじっと見る。
やっぱかっこえぇよなあ。



「結衣?じっと見てどないしたん」

『ん、見とれとった』

「またイチャついてからに...」

「まあまあ、坊...」



この感じを壊したなくて、
うちは廉造に告白できんでおる。
このままでも楽しいけど、
本音言うてしまえば、
やっぱもっとイチャつきたい。
でもどうしたらえぇんやろ...

最近ずっとそれで悩んでる。
うちらしないなあ。









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