ゼルダの伝説

□トワイライト
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黄昏の空、その下には大きな城壁が膨大な面積に広がりぐるりと囲んで鉄壁に守っている。
晴天ならば清純な白い城が爽快な大きさで存在を露わになり城下町を見守るように
たたずんで居るのだが今は冷たく扉を閉ざしている。

城下町は雑貨店や露店が並び賑わいを見せ居ていたのだろうが今はおどろおどろしく
青白い浮遊する炎の様な物体が支離滅裂に移動し無数に存在していた。

そんな入り組んだ建物の奥深くの今は使われていない様なボロ屋は所々に補強され
板に刺す釘が曲がり外れかけガタガタと風が吹く度に騒々しく聞こえる、
しかし、その風は止むこと無く古びた建物を囲む様に渦を巻いて吹き続ける。

東の門から足を忍ばせ何かが入って来た、門は閉め切られてはいなく入って来たのだろう。
浮遊する物体とは違う黒い体毛の狼とその背に跨る悪魔の様な出で立ちの者。

「ククッ・・・、そうカリカリするなって。この状況を楽しんだ方が利口だぜ。」

魔物はヒニルに笑いながら睨んでいる狼に横柄な態度で話す、青い瞳の狼は
軽く唸るが何かを探してまた足を動かすと右の前足に切れた鎖が石畳に擦れて
耳障りな音が出る、気にする様子も無く渋々と俳諧をする。

狼はただ訳も分からずに歩いている様だ、どうすれば良いのか解らずここに来させた
本人に聞くように首を横にして目を合わした。

その視線に気づくとやれやれとでも言うように両手を頭の後ろで組み左右に目線を
配り素早く手を耳に持って行くと意地悪で狼の耳を引っ張る、急な事で低くキャンと鳴いた
乱暴な扱いにガウッと鳴くが気にする事なく疑問に答える様に話し出す。

「いいか、お前もさ一度ココに捕まって来た事があるだろ?
その時に気づいたんだがど〜もっ、町の空気が変わっているんだ。トワイライトの
世界だからって訳じゃないからな・・・お前もさ分かんない?」

狼は首を傾げ辺りの空気を嗅いでみる行動をした、まるで魔物の言っている事が理解できている
様に会話でもしている様だが狼の方は何も言葉は発してはいないのだ。

「はぁ〜、気付かないの?まっ、いいや。別にオレの探している物じゃないんだが
なんだか気になってさ・・・光が何か手掛かりを噂してるかもな・・・聞いてみるか。
さぁ、お前の獣の本能を使いな、センスを研ぎ澄ましてよーく耳を澄ましな・・・。」

怪しく笑いながら魔物は近くの光と呼んだものを見つめながら狼に近寄りさせる
躊躇いは殆ど見られずに近寄ると青い瞳を向けて精神を集中させるとだんだんと光は
人の形を模してくると微かに聞こえて来た会話はちゃんとした声をして耳に伝わって来た。

噂をしている2人の婦女子はすぐ其処にいる狼や魔物に気づく様子も見せずに
話し続ける、おそらく見えていないのだろう見えているのは同じ光同士なだけなのだ。

『ねぇ!知ってる?あの口煩い雑貨屋の主人がいる店の隣奥の道に今は誰も使ってない
物置になってるボロ屋が在ったでしょ、ほら子供の間で流行ったお化け屋敷の度胸試し・・・、
3週間くらい前から不思議な事にその屋敷を囲む様に風が吹き続けて誰も近付け無いですってよ。』

『危ないわ〜、でも、それってビル風じゃないのかしら?建物が入り組んでるから
何か偶然に〜見たいに?それにあっちは何も無いから普段から行く事なんて無いわよね、
誰かがその屋敷取り壊せば無くなるわよ。普通に暮らしてて問題無いから大丈夫じゃないの?』

『それもそうよね、でも子供達にも近付かないように言っておかないと・・・
そう言えば!雑貨屋の主人って言ったらこの前等々奥様と離婚なさったんですってよ!』

『まぁ!やっぱり理由はアレなのよね!』

「・・・おっと、話が突然ずれたよこいつ等。」

真剣に耳を立てて聞いていた狼は背中に座っていた魔物の声で集中力が途端に切れ
透明な人影は青白い炎に変わってしまった。魔物の方はまったくと言う顔で固まった体を
ほぐす様に伸びをしながら狼に話す。

「だが、収穫はあったねぇ〜。さぁ原因を調べに行こう、適当に狭い路地を探すしかないぜ?」

魔物はそう言うとクククッと笑う、自分は乗っかっているだけだから楽だが狼は探すのは
自分なので機嫌の悪そうにひと睨みすると広い城下町をまた歩き出した。
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