D.Gray-man

□2黒の教団総本部
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ビューと耳に聞こえて来る大量の風の音。

少女の周りには白い靄にも似た冷たい霧のような物が凍り付くほどの風と共に行く手を阻む。

だが、霧ではなく地上から遥か離れた上空の雲。

――――――あんまり低く飛ぶと返って目立つ・・・
けど、さっ寒い!寒いなんてモノじゃないし、なんだか息苦しい

あの後危険な目にあった林から遠くに離れた方が良いだろうとこんな状態になった。

今の少女の姿では文化の違いで目立つ上にまた先程の奴に襲われない為に人が見えないくらい
高く飛んでいるが、吉と思った行動だったがそれは逆に凶と出てしまった。

吐く息は真っ白に後ろに流れて行き吸い込む息は痛みを感じるくらいに冷たく体の内からも体温を奪う。

――――――やっぱり地面を使った方が良かったかもしれないな、でも山を越えたかったし
歩いていたら時間がかかる上に人に会う確率は大きい。森の中に入れば大丈夫だろうけど・・・森は・・な

冷たい寒風に叩き付けられ晒される体は小刻みにカタカタと震え手足の感覚を奪って行く、
空気に含まれる水滴は髪にくっ付くと疎らに凍らせていった。段々と息を吸い込んだりする行為が
辛くなってくるのを頭では解るが既に痛覚が鈍り始める。

地上に降りて体を温めないと凍傷になってしまうか凍死すると言う事まで思考が回らないくらいに
頭は、ぼーっとして来ていた。

――――――あ・・・何か、目が・・霞んできた、かも・・・?頭が・・・・・クラク・・ラす・・・る・・・

何かの力で浮いていた様な体は次第にふらふらと上下に揺れていたら少女が意識を完全に失い
ガクンと力が入らなくなったのを川きりに重力に逆らっていた体は雲を裂きながら本来の様に重力に
引き寄せられながらスピードを速めて落下しだす。



切り立った断崖絶壁の崖は何者からもの侵入を許さない程の高さを誇っている。

そんな崖の上は相当な面積が存在し森が広がっている。森の中の中心には巨大な黒い塔がどっしりと構え
尻込みする程の重々しい空気をかもし出す、塔の周りには高くそして分厚い塀に囲まれ招かねざる客を
踏み入れないかの様にたたずむ門。

堅く閉ざしたままの大きな門の前には2つの影。

ザッ

「中身を見れば解る事だ、この〈六幻〉で切り裂いてやる。」

女と見紛う程に綺麗な美麗の持ち主の青年は高い位置で一纏めにしている藍色に近い黒髪。
腰辺りまである髪が揺れる。美麗な顔立ちの青年の目は釣り上がり目を放す事無く真っ直ぐに恐ろしいほどの敵意むき出しの殺気を目の前にいる年齢不詳に見える白髪少年に向けている。

「え゛・・・。」

こんな展開に成るとは予想していなかったかの様に少年の顔は血の気が引いていった。
そんな相手を一抹も気にする事をしていない青年は手に持つ“六幻”と呼んだ黒い日本刀を大きく振り上げて
白い髪の少年に素早い動きで駆けると斬りかかった。

「待って、ホント待って!敵じゃないですって!クロス師匠から紹介状が送られてるはずです!!」

半分混乱していた少年は少し反応が遅れてしまったものの蒼白しながらも相手にしっかりと
聞こえるように声を振り絞り言う。

ぴ たっ

「元帥から・・・?紹介状・・・?」

刀は少年の顔すれすれでブレル事無く綺麗に止められる。

追い詰められていた少年はいつの間にか門の壁に背中をぴたりと密着していた、もうこれ以上後退りは
出来ず紹介状の事を言わなければ刀との数センチの距離は無くなっていただろう。
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