METAL GEAR SOLID

□大要塞グロズニィグラード3
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マンホールの蓋を開ければその隙間から冷たい空気が流れ込んでくる。吐く息は
白い息に変わり暗い空からは白い雪がまばらに降って来ていた、北の地にいるのだと
夏の日に再確認する。どうして自分はロシアの地に気付かずに来ていたのか全く理解できないが
不意に段差の隙間から見えた敵兵を確認すれば別の事を考える事をやめて任務に集中する。
敵の目を欺きながら東棟を目指して進んで行く。しかし入口近くの物陰までは辿りついたが
警備が厳しく入口の周りに敵兵が巡回していた、誘導して1人ずつ片付けるかとも過るが
この人数では直ぐに怪しまれて増援が来てしまうだろう。様子を窺っていると少し離れた
窓の鍵が開いている事に気付く、中の様子を窺えば誰もいなく直ぐに潜り込む事にした。

「灯台下暗しって所ね。」

「科学者の変装で俺はあざむけるがお前はどうする。」

バックパックから出した白衣の変装道具に手をかけてスネークは一等兵を見た。
野戦服だが勿論ここの兵士とは服装が異なりそのまま出て行けば確実に見つかってしまう。

「勿論私も変装するよ、丁度ここはロッカールーム。問題無いわ。」

開いているロッカーを手当たり次第開けて行けばやはり無雑作に入っている服、
バラバラのロッカーから一式揃えて一ヶ所に置いた。だがここの更衣室は外を警備している
兵士の物だったらしく中の兵士とは異なった野戦服しかなかった。集めている間に
着替え終えたスネークが服を見て眉を細める。

「これくらいは想定内、逃げ出した科学者を捕まえた兵士が東棟内部に
連れて行くフリして何気無く潜入できるでしょ。」

「だが、女兵士がいては怪しまれる。体格も背丈も他と比べれば足らない。」

「分かってる、体格は今着ている服の上からまた着て声は低くすれば少年兵とも
誤魔化せるよ。背は・・・日本人なんだから仕方ないじゃない。」

これが平均的な高さなんだからと不服そうに呟く、外人が馬鹿みたいにデカイだけで
自分が小さ過ぎるように思うだけと八つ当たり紛いに言った。それが悪いとは言っていないと
話すスネークを聞き流しながら男臭い敵の服を着る、外を警備している兵士なら皆が
目出し帽を被っているので顔は隠したままでいられるのが何より助かる事だった。

男用の服は重ね着をしても余裕はあるがやはりその分の重さで体はいつも以上に重く
身動きが制限される。これでは身軽さを発揮できないが建物の中まで入る事が最優先で
戦闘は避けなければならないので見破られなければそれが一番だろう。無線の向こうから
サポートしている人達から内部の案内を聞ける為に中に入ってからの行動はスネークが
誘導する事になった。同じ窓から素早く出ると物陰に身をいったん隠す。

「・・・行くぞ。」

しっかりと目を合わせて確認する。急いで見繕った変装がどこまで通用するか
気が気ではないが壊れて使えなくなった為にロッカーの隅に放ってあったAK47を
装備し偽装はまずまずと言った所、覚悟を決めスネークの後へと続いた。

軍事基地外部の敵兵はこちらに気付くが思っていた以上には詮索されずに逃げた科学者を
捕まえたと話せばさっさと連れて行けと入口まで入る事が出来た。扉を潜り入れば
外を警備している兵士の姿は直ぐに目に着いてしまった、兵士が怪しむ様に近づいて来る。

「なにをしている、外の警備はどうした。」

「科学者が逃げだしたので連れて来ました、研究室まで送り届けます。」

出来る限るの低い声で返す、しかしすんなりとは通してくれずに顔を覗くように見ている。
別のチームならそうそう気付かれないだろうが小柄な兵士に疑いの目が向けられた。

「そいつはここで引き取る、お前はどこのチーム所属だ?」

番号を言えと迫られる、そこまで念入りに偽装する暇などなったので答えられない。
黙ったまま静かに忍ばせている銃に手を伸ばそうとした時、隣に立っていた科学者の格好の
スネークが突然扉に向かって逃げ出そうと走り出す。問い詰めようとしていた兵士は
押さえつけようと掴むが物凄い力で暴れる男に振り飛ばされ壁に背中を打ち付ける、
拳銃をスネークに向けた直前に一等兵は割り込み倍はある大柄な男をいとも簡単にねじ伏せ
取り押さえたかのように思わせる。勿論スネークはワザと敵わないかのように2人は芝居をうった。

「まだ、抵抗するので自分が連れて行った方がいいのでは?」

「くそっ、さっさと行け。」
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