夏の風物詩

□夏の終わりに
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「草むしり」

これは母から、聞いた話です。

近所に住んでいた奥さんは、墓参りが日課でした。
お墓の回りは常に綺麗で整然としていました。
そんなある日、奥さんはお隣りのお墓があまりにも、草が生え広がっているので、一緒に草むしりをしてあげようと思いました。
草むしりを終えた、その夜から、奥さんの身におかしなことが起きはじめたのです。
眠っていると枕元に気配を感じたのです。
ふっと目が醒めて、枕元を見ると見知らぬ人が立って、奥さんを見下ろしていました。
それが、毎晩、毎晩、続いたのです。
誰だか、分からず、原因も分からないので奥さんは、困っていました。
そんなある日、お隣りのお墓参りに来た家族とすれ違いました。
そこで、奥さんは、ハッとしました。
毎晩、出て来る幽霊に面影があると!?
隣の墓の先祖霊が毎夜、現れていたのです!
そこで漸く、奥さんは、あの草むしりが原因だと気付いたのです。
奥さんは、お隣りのお墓に手を合わせて、
「もう出て来ないで下さい。」
と頼みました。
それからというもの毎夜、枕元に立つ幽霊は、現れなくなりました。


その話を小さい頃から、聞かされていた私は、断じて見知らぬ墓は、拝みません。
勝手に憑いて来たら、困りますから。
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