夏の風物詩

□旅館の怪
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「此処に旅館を建てようなんて、絶対に駄目だ!!」

回りの親戚たちは土地を見て言った。

「いいや!俺はここに旅館を建てる!」

叔父は周囲の反対も聞かず、とある山手にある場所を二億円という莫大なお金を使って、旅館を建てた。
その為、家族から、お金を借りて、建てたのだ。
何故、反対されていたのかと言うと裏手に墓地があったからだ。
叔父は幽霊だ呪いだというのを信じていなかった。

旅館は無事に建ち、営業を開始した。
叔父は営業前に親戚一同を招待し、旅館内を見せてくれた。
露天風呂は前面ガラス張りで山手ということで、見晴らしが良く外からは、見えないという造りだった。
設備も充実して、何一つ、悪いところなんてなかった。

しかし、営業し始めると客の入りが悪かった。
叔父はきっと宣伝が足りないんだとその当時、流行っていたドラマの撮影現場に自分の旅館を使って欲しいと五十万円という大金を支払って、来てもらった。
しかし、ドラマ撮影は終わり、放映されたが、あまり客は入らなかった。

叔父は駐車場が少ないからだろうか?
山手にあるせいか、勿論、駐車場は少なかった。
前から、建設予定されている駐車場は、何故か、土を整地するだけなのに、工事現場の者が1時間と経たずに辞めてしまうのだ。

叔父はおかしいな?と思い、甥っ子に「ブルドーザーで1時間、整地するだけで一万円を払う」と言って、原因を究明することにした。
甥っ子も他の者、同様に1時間と経たない内に帰って来た。

叔父が甥っ子に尋ねたところ、整地しようとした所をブルドーザーで掘っていたら、ゴロゴロと大量の頭蓋骨が出て来たと言うのだ!


流石の叔父もそれには、驚いて、何故、大量の頭蓋骨が出て来たのか、不動産に詰問した。

すると不動産は、重い口を開いて、理由を話した。

実は、旅館の建っている場所というのは、むかし、罪人の処刑所だったのだ。
そして、駐車場にしようとした所は、落とした首だけを埋める場所。
旅館の裏手にある隠れた墓場は、罪人達の墓だったのである。

叔父は、その話を聞いて、旅館を二年と経たずに手放した。
不動産も隠蔽していたことに後ろめたさもあったのか。
二億円もかけた旅館は、工事現場の者が引き取り、叔父は自己破産をした。
その後、叔父は家族の者に借金を返すため、また、事業を始め、あっという間に返済したのだという。


さて、旅館がどうなったのか…誰も知る者はなく、何処だったのかも覚えていないのだそうです。

もしかしたら、山手にある廃屋旅館があったのなら、その旅館かもしれません…。
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