夏の風物詩

□里帰り
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そこには、一人しか居ない筈の乗客が二人も…増えていたのだった。
しかも、増えた乗客は、今まで、彼女が座っていた座席にいたのである!

彼女とサラリーマンは、驚愕しながら、お互いに確認しあった。
乗客は三人だけだったこと、今のバス停で乗り込んだ者も居なかったこと、そして、途中で停まったバス停には、人がいなかったことを……。
では、さっき、見たあの乗客は、何だったのかということ。
まして、彼女のついさっきまで座っていた座席にいたのだから。
彼女は背筋がぞっとして、急いで帰ることにした。
彼女は、サラリーマンから、途中まで送って貰い、帰途に達した。

そして、今がお盆だったことを次の日、思い出した。
もしかして…あの見えない者も里帰りしていたのだろうか…と…。
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