アワナイ トモダチ

□落とし物
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第三話「オトシモノ」


これは中学二年生の修学旅行先で起きたできごとである。

三人は二年に上がり、列車に乗って鹿児島まで、向かっていた。


「タミ、マユ、一緒に座ろうよ♪」

他クラスの友達、波がタミとマユのいる車両へと遊びに来た。
波は、オシャレが大好きな女子だ。

「ああ、波ちゃん♪」

マユは、波に声をかけられ、振り向いた。

「もう私のクラスさ、隣の車両ってば、喫煙室なんだよ!髪に臭う移るから、ヤダ〜。折角、セットしてきたのに!」

波は、マユの向かいに座ると開口一番に文句を言った。
マユは、波のクラスがケイと同じクラスだったのを思い出した。
だとするとケイは、今頃、乗り物酔いしているだろうなぁ…。
マユは後で様子を見に行こうと誓った。

「折角だから、記念写真、撮ろうよ♪」

波はカメラを片手に二人へ言った。
タミは微妙な顔を浮かべて、マユを見た。
マユはタミに大丈夫よと肩を軽く叩いた。

「…そうだね!」

「鹿児島の道中って言えば、長ーいトンネルだよね。そこで撮ろう!」

マユとタミは、波に、強引へ言い、場所を指定した。
波は二人に気圧され、頷いた。
しばらくして、長いトンネルに差し掛かり、真っ暗なガラスをバックに写真を三人は撮った。
タミは此処なら、絶対に変なモノは写り込まない!と考えたのだ。
列車の旅も終わり、目的地に着いた二人は、一般客に紛れ、人に押し合いへし合いした。
タミは、ポケットにモノを入れられたのだが、気付かず、クラスメイトの元へ向かった。

「もうタミもマユも何してんのさ。」
「ごめん、ごめん。」
「タミ?」
「あ、ううん。何でも、無いわ。」
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