私小説☆準備中
□第1話
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要
雑木林の中で餓鬼たちに囲まれた要と白禍は、見ず知らずの武士集団の加勢に寄り、追い払うことができた。
餓鬼たちを掻き分けて、現れた青年武士に要は、目を奪われ、呆然と立ち尽くしてしまった。
青年は、要に近付き、
「怪我はないか?」
と尋ねてきた。
「大丈夫だ。礼を言う。」
要は、軽く礼をして、身を翻し、白禍へ目配せした。
瞬間、要は青年に腕を捕まれた。
「怪我を…」
青年は、要の手にある擦り傷を見て言った。
「このくらい、何ともない。」
要が言う前に青年は、手拭いで擦り傷を優しく包み、結んだ。
「此で大丈夫。女性なのに傷が残っては大変だ。大事にしなければ、いけないよ。」
要は青年に囁かれて、急いで手を引くと白禍へ走った。