夏の風物詩

□真夏の白昼夢
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ミーン、ミーンと蝉の鳴く季節。
アスファルトの焼けた暑い日に従姉妹のお姉さんは、交差点の横断歩道に立っていた。
赤信号で早く青に変わらないかな?と汗を拭いながら、思った。
余りにも暑いせいか、思考回路も停止状態だった。
照り付ける太陽。
ふと、従姉妹が、視線をそらした時に、真っ白なワンピースを着た女性が立っていた。
従姉妹は引き付けられるようにその女性を見つめた。
瞬間、その女性が横断歩道を歩き出したので、信号が青に変わったんだと彼女は思った。
従姉妹もその女性に倣い、歩きだそうとした刹那!?

「危ないっ!?」

誰かの叫ぶ声に従姉妹は、驚いて踏み出した一歩を躊躇した。
その時、従姉妹の目の前を車が走って行った。
寸でのところで車に跳ねられずに済んだのだ。
従姉妹が安堵の息を漏らした時に、真横で恨めしそうな声がした。

「何で踏み出さなかったの?」

それは、さっき歩き出した女性の声のようだった。

従姉妹は、恐ろしくなり、青信号に変わると急いで家に帰った。

その交差点は、事故の名所らしく、たまに幽霊が人を呼ぶというのだ…。
従姉妹は運よく回りの人が気付いてくれたが、もしも、一人だったのなら…と従姉妹は確実にアチラに呼ばれていたろうと言っていた。

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