夏の風物詩

□愛されている
1ページ/1ページ


これはまだ、兄が幼かった時の話です。

母が宗教絡みの会合へ行くと何故か兄は、泣きわめき、入りたがらないそうです。

家に元からある宗教は、良いのですが、その他は絶対に拒絶するのです。

こんなことが続き、母は、不思議に思い、近くの御宮に連れていき、宮司さんに尋ねたそうです。

すると宮司さんは、

「ご先祖様がこの子を通じて、嫌がっているのです。他の神様を崇めたりするのをよく思っていないのですよ。」

と言われたそうです。

そして、宮司さんは、

「この子はご先祖様に守られているんです。だから、貴方は毎日、丼一杯のお水を注いでご先祖様に上げなさい。」

と母に言ったそうです。

以来、母は兄をそういう場所に連れていかないようになったそうです。



その話を聴いたのは、私が二十歳を過ぎてからでした。

不意に考えてみると兄は、事故や病気にあまり遭わずに来たなと…。

それに兄は宗教が大嫌いです。

きっとご先祖様が嫌がっているんだろうなと微笑ましく見えてしまいます。

私は今もご先祖様が兄を守ってくれているんだと思えてならないのです。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ