◆雛鳥◆


□#7
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#7













新選組に身を寄せるようになってから、数日が経った。
監視されながらの生活は・・・正直、息苦しい。
それなりに皆さん、気を使ってはくれているけど、
慣れない環境の中、文化や常識が違うとなると・・・
・・・やはり精神的な疲れがみえるものだ。

身の回りの世話などの、相手が男の人だと非常に気まずいことなどは、
千鶴が世話してくれている。
例えば・・・厠に行く時とか。
やっぱり、そればかりは男の人についてきて欲しくはない。
だから、千鶴の存在には本当に感謝した。
・・・なにより、彼女の性格が優しい。

それと、近藤さんも何かと気にかけてくれる。
私が一人で暇な時とか、ちょっとだけでも顔を出してくれるし、
時間があるときなら話し相手にもなってくれる。
それに、甘味も手土産にもってきてくれたりするんだ。
・・・私は、近藤さんが好きだ。
変な意味じゃなくて、純粋的な好意。
多分、私を初めに信用してくれた人だから、っていうのもあると思う。




―――ここに来て初めてお風呂に入ったとき、私はとても困った。
だって、シャワーがない。
蛇口もない。
よって、お風呂の入り方がいまいち分からない。
困り果てた私は、一緒にお風呂に来ていた千鶴に使い方を尋ねた。



「・・・え?使い方?」



あの時の千鶴の、キョトンとした顔は忘れられない。
・・・あぁ、可愛い子は何しても可愛い。
私も肖りたいものだわ。
ま、かわいげの欠片もない私じゃあ、何しても無理かな・・・はぁ。








―――とまぁ、今までの出来事を思い出しているのだけれど、
実際はそんなに日が経っているわけじゃない。
たった数日。されど数日。
監禁されて暇な割には、色濃い一日を日々過ごしている。






「私・・・ずっとこのまま?」





私はボソリと呟いた。
静けさだけが、無情に漂う室内・・・。
千鶴は洗濯しに出ていて、ここにはいない。
外には、見張りの人がいるとは思うけど、
この間の騒動(お触り事件・・・)が、
どうやら土方さんの耳に入ったらしく、
私はお叱りを食らった上、見張りの人に不必要に話しかけるなと言われた。

そのせいで、私はより一層孤独を味わっている。
・・・こんな生活をこれからいつまで続けなきゃいけないのか。
もしかして・・・このまま、ずっと?
そんなの、嫌だ。
何もせずに唯、息を止めるように過ごさなきゃいけないなんて。
帰れないのならせめて、ここでの自分の役割ぐらい見つけたい。
誰かの小姓でも何でもやるし、家事だってやる。
・・・出来ないことは出来るようになるから、





「・・・私にもっ、何か仕事を頂戴っ・・・」





この世界に置いて行かれる前に。
・・・追いつけるうちに、





「私を閉じ込めないで・・・」





切り取られた室内の中。
私は必死に自分の存在を確認するために、
小さな小さな声、でも針のように鋭い声で必死にこの室内を響かせた。







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