◆雛鳥◆


□#1
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遥か遠くの方で、どこか慌ただしい音が聞こえた・・・







#1

















重い目蓋を開けてみれば、頭はぼんやりとしていて、自分がまだ寝ぼけていることを悟る。

辺りを見回してみれば、暗くてよく見えないが、和室にいるらしい。
寝ぼけて自分の部屋じゃなく、隣の和室に来てしまったのだろうか・・・?

私は自分の状況がつかめず、まだ夢現だった。
どちらにせよ、自分の部屋に戻らねば。そう思って、私は寝そべっていた体を起こす。
目蓋をこすりながら、再度周りを見る。








「・・・・ここは、え・・・・?」








夢現だった私。
でも、今は多少視界も慣れ辺りが薄ぼんやりと見える。
そして、この和室が、自宅の和室じゃないことを知った。

バクッバクッ・・・

心臓が早鐘を打つ。
どうしよう、いや自分、とりあえず落ち着こう。
心臓に手を当て、私はこの部屋から出ることにして立ち上がろうとした・・・が、




「おい、そこに誰かいるのか?」





襖が開く大きな音とともに、若い男が
姿を現した。
顔はよく見えない。
私は口元に手を当て、恐怖で声が出ないようにする。
すると更にもう一人男がやって来た。




「なんだ?まだ、長州の奴が隠れてたのか?」





そう言いながら、私がいる室内を見渡している。
バレるな、バレるな・・・。
そう、呪文みたいに私は何度も心の中で唱えた。
でも、バレないわけがなく、






「あぁ、まだ人がいたのか。
 お前、長州の人間か?
・・・でも、奴らはもう他にはいねぇって言ってたのになぁ・・・。」




男は何か棒みたいなモノを動かした。
最初にやってきた若い男が「んなの嘘かも知んねぇじゃん。」とか言ってるのが聞こえる。

私は、いよいよパニックに陥った。
だって、自分が今いる場所も状況もわからないのに、なんだか緊迫とした空気だけが漂っているんだから。
しかも・・・長州?・・・って、尊皇攘夷の?いやいや、あれは歴史の話だ。
じゃあ・・・何?






「なぁ、お前もしかしてこの店のもんか?」





若い男が胡散臭そうな声で尋ねる。
どうしよう。
ハイと答えてもイイエと答えても、どちらにせよ自分の立場は悪いような気がする。




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