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数分後、半兵衛様と共に部屋に入ってきた医者に診察を受け、「どこにも異常は無いようですし、数日経てば退院できるでしょう」と言われた
半兵衛様が「ありがとうございます」と言うと医者は「お大事に」と言い、病室から出ていった
それを見て病室に半兵衛様と二人になった時を見計らい、何があったのか聞くために口を開いた
「あの、半兵衛様……。」
「ああ、何があったのか知りたいんだよね?」
「はい。」
そう答えれば窓の側に立っていた半兵衛様がベッドの近くにあった椅子に座った
「三成君、君が覚えてることを教えてくれないかい?」
「はい。確か部活に行くために走っていて、それで車に轢かれそうになって……。」
そこからは何もわからかった
気が付いたら知らない場所にいて、そこには家康がいたのだ
それで昔のことを思い出して……
そう思っていると、半兵衛様は私がこれ以上何も覚えてないと思ったのか口を開いた
「うん。そうなんだけど、君は車に轢かれてないんだ。」
「え?」
思わず変な声で聞き返してしまう
私が轢かれていないはずがない
確かに車は目の前に迫ってきていたはずだった
「実は近くを通ってた子が君を助けてくれたんだ。」
「では、そいつが……!?」
「大丈夫、生きてるよ。幸い君に気付いた運転手がブレーキをかけたのと、その子が咄嗟に避けようとしたこともあってそんなに大した怪我もしていない。」
半兵衛様のその言葉に安堵しつつ、今度お礼をしなくてはいけないなと考えていた
まさか半兵衛様がそのまま話を続けるとは思ってもいなかった
「だけどね、君を助けてくれたその子がまだ目を覚まさないんだ。」
「っ!」
半兵衛様は「三成君とは違う学校の子なんだけど……。」と話を続けていたが全く頭に入ってこなかった
その瞬間、頭の中に夢で家康に言われた言葉が響いた
『お前はまだ生きてる。』
「……!」
まさか、ありえない
私を助けたのが家康なはずがない
だったら何故アイツは私が生きてると言いきれたのだ?
そう考えていれば無意識のうちに口を開いていた
「……半兵衛様。」
「どうしたんだい?」
「私にそいつの病室の場所を教えて下さい。」