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目を開ければ今まで走っていた細い路地も目の前に迫っていた車もなくなっていた


それ以前に自分のいる場所が変わっているのだ



何故か自分は誰かの家の縁側に座っていて、後ろを見れば畳の部屋があり、前を向けば手入れの行き届いている庭が広がっていた



(ここはどこだ?)


そう思った瞬間、後ろからギシッと畳を踏んだ音が聞こえ、振り向いてみればそこには黄色い服を着て、装具を身に付けている人が立っていた


今まで人がいる感じなどしなかったのに突然人が出てきたことに驚いていると目の前の人物が口を開いた



「三成?」

「……私を知っているのか?」

「ああ、やっぱりそうか。そうだと思ったんだ。」



何を一人で納得しているんだと思いながら相手を睨む

私が知りたいのは恰好がおかしい目の前の男が何故私のことを知っているのかということで、質問に答えない相手に苛立ちを覚え、舌打ちををしそうになる


「おい。」

「どうした?」

「私の質問に答えろ。」

「え?あ、ああ……お前のことは知ってる。知り合いの応援で陸上の大会に行った時、優勝してたのを見たんだ。」



目の前の人物がそう言ったのを聞いて納得する

確かに何度も陸上の大会では優勝してるため、そういう理由なら私のことを知っていてもおかしくない



「そうか。……そういえば、ここは貴様の家なのか?」



そう聞くと目の前の男は首を横に振り、口を開いた


「ワシは気が付いたらここに居たんだ。」

「私と同じだな。私も気が付いたらここに居た。早く部活へ行かなければならないのに。」



そう言い、空を見上げればどんよりと曇っていた筈の空が雲一つ無い青空に変わっていたことに今更気付いた


(……私がここに来る前は確か曇っていたはずだ)
そう思い、空を見上げることを止め、急いで男の方を向く

男の方は急に自分の方を向いた私に驚いていているようだったが今はそんなこと関係ない


「おい!」

「え、あ、どうした?」

「貴様がここに来る前、天気はどうだった?」

「天気?……確か雲っていて今にも雨が降りだしそうだったな。」



男がそう言った瞬間、私の考えた事が確信へと変わる





「……もしかして私は死んだのか?」



怖いという感情が溢れそうになり、それを誤魔化すように言うつもりのなかった言葉を無意識のうちに呟いていた



そして、どうなんだ?と問うように男の方を向けば、ただ驚いたように目を丸くしていただけだった
 
 
 

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