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□今なら言える、
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関ヶ原の戦い


日ノ本を二分する程の戦だったのにも関わらず、わずか半日で既に決着はついていた



目の前に倒れているのは敵方の総大将であり、ワシの最も大切だったはずの人



「……三成。」


もう二度と動かない、何も言わない、答えてくれない

そんなこと自分が一番わかっているはずなのに、自然と三成へ話しかけてしまう


返事など返ってくるはずなどないのに



「こんなこと言ったらお前は怒るだろうな。」



三成の傍に座り、頬を触れば最後に抱きしめた時のような温もりはなく、ただ冷たいだけだった



その瞬間、何故か息をするのが辛く、苦しくなった

それなのに笑うことしかできない

笑うといっても三成の一番嫌う無理して笑うという笑い方だ




三成が生きていたなら『何故笑っている?』と聞かれるだろう

ワシはその問いに答えず、笑って誤魔化して、三成が顔を顰める

そして歩きだした三成に謝りながらも隣を歩く


そんなやり取りを思い出せば、次々と三成との会話を思い出す



今思えばワシは三成を怒らしてばかりだった


それでもワシは三成が笑う顔を見たくて何度も話しかけていた

自分の気持ちは伝えず、隠したまま


伝えれば三成は遠くに行ってしまう気がして何も言えずにいた




「だけど最期に、……最期だから言わせてくれ。」




自分の気持ち、想いは豊臣を裏切る時に殺したはずだった


それでも最後まで殺せなかった想いが一つだけある





「……三成、愛してる。」




空は曇っているが雨など降っていない


それなのにも関わらず、何滴もの水が三成の頬を濡らしていた






今なら言える、
(君を愛していた)

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