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半兵衛様が帰られたあと、教えてもらった病室へと向かう


そいつの病室は私と同じく個室のようで、病室は意外と近くにあった



(ここか……?)


そう思い、ノックをして病室のドアを開ける



見舞いには誰も来ていないようで、そいつ一人だけがこの部屋にいて静かに寝ているのがわかった


ただ私が立っているところからではカーテンがあるせいでそいつの顔を見ることが出来なかった




意を決して仕切りになっていたカーテンを開ける




「っ!」



ああ、やはり貴様だったのか



「家康。」



目の前のベッドに寝ているのはあの時と全く変わってない家康だ


いや、目の前にいる家康の方が私が最期に見た時より幾らか幼いように見える



ゆっくりと手を伸ばし家康の顔に触れれば、温かく生きているんだということが実感できた


それなのに家康は全く起きる様子をみせず、そのことがとても腹立たしく、何故か悲しかった




「おい、貴様は自分の言いたいことだけ言って私の前から居なくなるつもりか?」


家康に聞こえるはずなどない


それでも話しかけることを止める気にもなれなかった




「良く聞け。」


「私は今幸せだ。秀吉様も半兵衛様も刑部も一緒にいるからな。」


「だが、今まで生きてきて何かが足りないような、心に隙間があるような気がしてきた。」


「そして今その原因がわかった。私は本当は幸せなんかでは無かったんだ。一番重要な奴が足りなかった。」


「早く目を覚ませ、家康。」



そう言った瞬間、家康の頬に水滴が落ちる





「もし起きなければ貴様を一生許さない。」



今度は私の声が震えていた










僕には君が必要だった


秀吉様がいて、半兵衛様がいて、刑部がいて、そして家康がいて私は初めて幸せと思えるんだ 
 
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