君に願いを…
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君に願いを…
一柳昴。
警視庁警備局警護課所属の警部補。
陰では俺様エリートとか呼ばれている。
春日さくら。
東京にある大学2年で演劇部に所属。
ある日総理大臣の娘であることが分かり生活は一変した。
そんな2人がSPと警護対象として出会い、恋におちた。
周りからみればバカップルと言われてしまうがそれだけ幸せに満ちていた毎日。
けれど、ある日を境に幸せが悲劇に逆転する事件が起こったのだった。
晴れて婚約を交わし順調に愛をはぐくむ昴とさくら。
毎日2人でいられることに感謝し幸せを感じていた。
「今日も気をつけて行ってらっしゃい。昴さん」
「ああ。さくらお前もな」
そう言っていつものように玄関で口付けを交わし、俺を見送るさくらに後ろ髪をひかれる思いで仕事に向かう。
『遅れちゃうからダメ』と言われて、朝はキス一つだけと約束させられたのは不服だが、これからさくらとの一緒の甘い生活を送れることが嬉しかったのは正直な気持ちだ。
だからそこは約束を受け入れた。
「昴さん、おはようございます。」
いつもの部屋に入れば同じ班のメンバーである海司がいた。
「おう」
「朝イチで何なんっすけど、ちょっといいすか?今日のマルタイのことなんですけど…」
2人で今日のマルタイの事を話してると班長である桂木さんが入ってきた。
「昴、海司、おはよう。なんだ?そらはまだ出てこないのか…瑞貴はすでにマルタイについているから不在だ。ミーティングを始めるぞ」
「おっはよーございまーす!」
「遅いぞそら。お前また遅刻だぞ?」
「っ!すいませんっした!」
桂木さんに注意されたそらが慌てて駆け寄ってくる。
そしていつものように今日の警護対象についてのミーティングが始まった。
「今日のマルタイはある汚職事件にかかわっているかと思われる人物だ。漠然とだが、彼が何かを握っているらしいという情報が公安の石神から入っていている。そのため命を狙われることも考えられる。すでに瑞貴には伝えてあるが、皆心して警護するように」
「マルタイを選べないのは分かってますけど、何で俺らが警護にあたらなきゃならないんですか?」
桂木さんの説明にそらが口をはさむ。
「仕方がないだろ?先方からのぜひともということだそうだ。俺たちの班を直々に指名してきたんだ。光栄と言えば光栄だろう?仕事だ割り切れ」
「了解…」
「おい、そら。仕事に私情を挟むなっていつも言うだろ」
「そんなこと言うなら昴さんもじゃないですか。さくらちゃんの警護はいつも昴さんだし?」
「当然だろ?俺がさくらの専属なのは最初からきまってんだよ」
「…そっすね〜」
「おい!無駄話はそれくらいにしておけ!時間が迫ってるんだぞ?」
「…了解。」
結局班長から俺まで叱られる羽目になり、頭を仕事モードに切り替える。
そして今日一日が始まったのだった。