創作小説
□雲行き
2ページ/5ページ
1.一話前篇
クモユキ 〜1〜 誕生日大騒動
私はとてもわくわくしていた。
普段歌わない、鼻歌を歌うほど・・・。
今日が終われば冬休みだしね!だって、今日は二学期の終業式だもの。
まっ、通知表はどうにか誤魔化せば、一応問題ないし。
あっ、言い遅れたね。私、露雲 雪。中学二年生で、クラスに一人はいる、地味な読書少女。誕生日は今日、十二月二十四日、クリスマスイブ。身長は、一五六センチ。…スリーサイズと体重は、もちろん内緒だけど。
私、ここまではどこにでもいそうな女子なんだけど・・・。
「ユキ〜〜〜〜!!!!ちょっと来て!」
と、声をかけてきたのは、唯一無二の理解者。彼女の名前は、朝野 零奈。私の『仲間』でもあります。
その『仲間』というのは・・・。
「ユキ〜〜!!は〜や〜く〜!!!」
ま、まあ、今は先にいかないとね・・・。
「どうしたの?レイナ??」
「はいっ!これ!!」
といって、レイナは可愛い箱を私に投げた。
それは、なんと、私への誕生日プレゼントだった。しかも、中はオシャレな時計。
新しい時計が欲しかった私にとっては、とても、うれしいものだった。
「ありがとっ!レイナ❤❤」
と、私はお礼を言った。
あっ、それでね、『仲間』っていうのは、実は、私とレイナには、不思議な能力があるのだ!
で、でも、能力と言っても、私は雲を動かす能力。レイナは、雨が降る時間を変える能力なの。
ついでに、クラスメイトも紹介するね。
まず、向こうで溜め息ついている、いかにも学級委員タイプの真面目そ〜な男の子。
彼は、田口 雷 と言って、ほんとに見たまんまの性格。全て苗字にさん付け呼びしている人。
今の溜め息も、多分今のプレゼントを、『不要物の持ち込みは禁止です‼』って言いたそうなところなのだ。
後は、その田口君を遠くで眺める、優等生と幼なじみ・・・とは思えない、真面目でない生徒、小村 電斗君。私の事をカタカナでサン付けして呼ぶ人。
彼とは、なんと共通点があり、誰もいない時(二人っきりの時)、よく喋っている。
それは・・・・・・、
読書。
『書物を読む』の読書の読書である。
あまり公じゃないんだけど、学校で借りる本の冊数を競っているの。まぁ、今は私が二冊上で学校一なんだ。すごいでしょ‼
でも、小村君は(意外にも)努力家だから、私もうかうかしちゃいられない。
・・・べ、別に小村君のことが好きだからじゃないからね!本が好きなだけだからね‼
い、一応の交流はある。だって今朝なんか、私のために、ずっと欲しかった本をわざわざ探して、プレゼントしてくれたんだよ!
だから、私も小村君が明日誕生日を迎えるから、欲しがっている本を探す為に、今日は古本屋巡りするんだ!
っと、なにやら田口君、私の傍を行ったり来たりしている。なにしたいんだろ?
「おい、露雲サン。ちょっと来い」
と、いきなり小村君が私を呼ぶ。
なぜか、静かになった教室を私は不思議に思いながら、小村君の所へ行く。
「こ、これを!!!!!」
と、田口君(学級委員)は、私に箱?を渡して、マッハの速さでどこかへ消えた。
もしかして・・・誕生日のかな?ちょっとうれしいかも。
あーー。でも、彼(委員)を好きな人は、たくさんいるんだよ。意外にも・・・。
それが、実はレイナだったり・・・。
って、言ったらだめじゃん!私‼
な、内緒だからね‼
でも、明日、小村君に来てもらうんだ。学校の正門に午前十時。
もう、冬休みだしね。
さ、早く明日がこないかな〜。
続く→