創作小説

□雲行き
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1.一話前篇

 クモユキ 〜1〜 誕生日大騒動


 私はとてもわくわくしていた。

 普段歌わない、鼻歌を歌うほど・・・。

 今日が終われば冬休みだしね!だって、今日は二学期の終業式だもの。

 まっ、通知表はどうにか誤魔化せば、一応問題ないし。


 あっ、言い遅れたね。私、露雲 雪。中学二年生で、クラスに一人はいる、地味な読書少女。誕生日は今日、十二月二十四日、クリスマスイブ。身長は、一五六センチ。…スリーサイズと体重は、もちろん内緒だけど。

 私、ここまではどこにでもいそうな女子なんだけど・・・。

「ユキ〜〜〜〜!!!!ちょっと来て!」

と、声をかけてきたのは、唯一無二の理解者。彼女の名前は、朝野 零奈。私の『仲間』でもあります。

 その『仲間』というのは・・・。

「ユキ〜〜!!は〜や〜く〜!!!」

 ま、まあ、今は先にいかないとね・・・。

「どうしたの?レイナ??」

「はいっ!これ!!」

といって、レイナは可愛い箱を私に投げた。

 それは、なんと、私への誕生日プレゼントだった。しかも、中はオシャレな時計。

 新しい時計が欲しかった私にとっては、とても、うれしいものだった。

「ありがとっ!レイナ❤❤」

と、私はお礼を言った。


 あっ、それでね、『仲間』っていうのは、実は、私とレイナには、不思議な能力があるのだ!

 で、でも、能力と言っても、私は雲を動かす能力。レイナは、雨が降る時間を変える能力なの。



 ついでに、クラスメイトも紹介するね。

 まず、向こうで溜め息ついている、いかにも学級委員タイプの真面目そ〜な男の子。

 彼は、田口 雷 と言って、ほんとに見たまんまの性格。全て苗字にさん付け呼びしている人。

 今の溜め息も、多分今のプレゼントを、『不要物の持ち込みは禁止です‼』って言いたそうなところなのだ。

 後は、その田口君を遠くで眺める、優等生と幼なじみ・・・とは思えない、真面目でない生徒、小村 電斗君。私の事をカタカナでサン付けして呼ぶ人。

 彼とは、なんと共通点があり、誰もいない時(二人っきりの時)、よく喋っている。

 それは・・・・・・、




 読書。




 『書物を読む』の読書の読書である。

 あまり公じゃないんだけど、学校で借りる本の冊数を競っているの。まぁ、今は私が二冊上で学校一なんだ。すごいでしょ‼

 でも、小村君は(意外にも)努力家だから、私もうかうかしちゃいられない。

 ・・・べ、別に小村君のことが好きだからじゃないからね!本が好きなだけだからね‼

 い、一応の交流はある。だって今朝なんか、私のために、ずっと欲しかった本をわざわざ探して、プレゼントしてくれたんだよ!
 

 だから、私も小村君が明日誕生日を迎えるから、欲しがっている本を探す為に、今日は古本屋巡りするんだ!


 っと、なにやら田口君、私の傍を行ったり来たりしている。なにしたいんだろ?

「おい、露雲サン。ちょっと来い」

と、いきなり小村君が私を呼ぶ。

 なぜか、静かになった教室を私は不思議に思いながら、小村君の所へ行く。

「こ、これを!!!!!」

と、田口君(学級委員)は、私に箱?を渡して、マッハの速さでどこかへ消えた。

 もしかして・・・誕生日のかな?ちょっとうれしいかも。

 あーー。でも、彼(委員)を好きな人は、たくさんいるんだよ。意外にも・・・。


 それが、実はレイナだったり・・・。


 って、言ったらだめじゃん!私‼

 な、内緒だからね‼

 でも、明日、小村君に来てもらうんだ。学校の正門に午前十時。

 もう、冬休みだしね。


 さ、早く明日がこないかな〜。


続く→
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