Long story
□Requiem Episode1
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願望なんてモノは何時だって良い物だとは限らない
いや、むしろ幸せな結果になる事の方が少ないのかもしれない
それを判って居ても望んでしまうのは人間の業なのだろうか
考えても無駄だろう 結局俺は実行に移しているのだから
そう、俺は今までも、これからも、この業を背負い続ける
あの 死の権化と言える存在に導かれ
--------死ぬまで、ずっと…
「はじめまして、ごきげんよう サタンの落胤よ。」
「突然なのだけれど、あなたを死に追いやらなくちゃいけなくなったんで〜す♪」
そしてその女とも男とも取れる声のモノは
怖気を催すほどの微笑みを湛え、指を鳴らした
---パチンッ
刹那、太陽の浮かぶ青空は三日月がぼんやりと光る夜闇へと姿を変えた
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---死神の鎮魂曲は生者を誘う--- Episode 1
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奥村燐は逃げていた
畜生…!今度は何だ!
状況に理解が追い付かない
---アレは何だ?
---どうして急に夜に?
そもそも俺がサタンの落胤と知っているのは、雪男などの極一部だけの筈だ
---なのに、何故?なぜあいつは俺のことを知っている?
それに、あいつからは嫌悪、崇拝、好奇心など今まで襲ってきた奴らとは違う何かを漂わせていた
まるで…
そこで燐は思考を中断した 否 せざる負えなかった
「やあ、奥村燐君 こんばんは。どうしたんだい?そんなに慌てて」
「…テメエ…」
「そんなに慌てていると、別の何かに足元を掬われるかもしれないよ?」
「とぼけるな!単刀直入に聞くけど、これはアンタの仕業か?」
「…いいや、違うよ」
「じゃあなんでアンタはここにいるんだ!」
「…やれやれ本当に短気だな。まあいい」
口調が変わった
「これは俺の仕業じゃないがな、俺のパートナーの仕業だ。ここまで言えばわかるか? 俺らがなぜ此処に居るのか」
理解できてしまった 自分がどんな状況に置かれてしまったのか
「…どうして」
判っている、そんなの聞くまでも無い
だけど、如何しても認めたくなかった
「どうして?そんなのお前が一番解っているんじゃ無いか?」
「いや、解かってたとしても 俺のエゴか」
彼はどうしてか悲しそうな顔をした
「………」
「悪いね… 俺の無駄話に付き合わせて。そろそろ始めるか」
そう言って彼は手に持っていたショットガンの銃口を燐に向け
「死んでくれ、奥村燐
…いいや、サタンの落胤よ」
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その様子をソレは見ていた
ソレは、笑っている様だった
「…The die has been cast 賽は投げられた、か…」
「君達の運命のダイスはどっちに転がるんだろうねぇ?」
そう言って暗闇に姿を溶かした