波乗少女
□six surfing!
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気付いたら…
思わず手を引っ張って歩いていた
どうしたらいいのか、何て声をかければ良いのか分からなくて…
とにかく歩いて歩いて歩きまくっていたら、大きな岩の前まで来てしまって
どうして苛々していたのかは、自分が一番分かっていた
俺は今朝逢った女の子を探しがてら、ちょこちょこポイントを変えていた
けれど中々あの子には巡り逢えなかった…
あっちもポイントを変えているのかもしれない
そう思った俺は、今朝居た場所に戻る為にボードを持ったまま歩道を歩いていた
そんな時にあそこに鉢合わせては…流石に俺でも怒る
探していたのに、他の男に取られかけてるなんて
別にあいつが悪いんじゃない…それは分かっていたけど、つい嫉妬心をぶつけていた
「ありがとう…って言ったよな?」
初対面から無愛想で喧嘩腰で…思っていた女の子とは違った
でも…しおらしい女の子よりも、何故か安心した様な気がする
それにあの照れた顔…
海辺でも分かっていたけれど、必死で隠そうとそっぽを向くのが可愛くて黙っていた
あれは、男の経験…いや、へたをすれば付き合った経験すらないだろう…
俺は口角をあげて思わずガッツポーズをすると、自宅へと足を運んだ。
第一章 出会い。