波乗少女

□five surfing!
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『浪合…綺羅』

ぼそりと呟く

「綺羅か!宜しくな!」

『名前で、呼ばないで…』

私は頬を見られないようにより一層海の方を見る

「何でだよ!良い名前じゃねえか!な!綺羅!俺の事も、条介って呼んでくれ!」

『五月蠅い…綱海…』

「おいおい、ノリ悪りいなあ…」

なんて…どっかの誰かみたいなセリフを呟く条介

「ま、いいか…もう暗くなるし…帰るぞ。お前、家どこだ?送ってやるよ」

『なっ…良いっ、送らなくて…』

とても初対面とは思えない自然さとさり気なさだったが、私は焦って思わず条介を見た。

「遠慮すんなって!またあんな奴らと鉢合わせたりしたら危ないしな!」

お前は逃げねえしよお…と呟かれてうっ、となってしまった

それを言われると…何だか何も言えない…

『わ、分かったからっ…その、手を離せっ』

顔から熱いのか、手から熱いのかは分からない

でも、これ以上握ったままだと…私が私でなくなる様な気がした

二人でボードを持ったまま、海岸沿いをとぼとぼと歩いて帰る

気付けば私が海岸側で、条介は車道側を歩いていた

送ってくれたりなんだりと、所々男らしいというか紳士的だ。
見た目も性格も、紳士なんてかけら無いのだけれど…

「お前、中学はどこなんだ?」

『…………大海原中』

一通りサーフィンの話が終わると、学校の話へと発展した

何となく聞きたかったけど、聞けなかったこと…

「お?同じだな…でも、お前見たことねえぞ…中3か?」

『いや、中2…』

「へえ…じゃあ、俺がいっこ上だな」

通りで同じ中学でも知らない訳だ…特に私なんかは、部活の先輩以外興味ないし、仲良くしようとも思わないから。

よく知らない先輩とかには話しかけられるけれど、軽く相槌を打つ程度でさっさとその場を去る

必要以上人と関わりを持たない、それが一番な事だ―…。

そうこう話している内に家の前まで来てしまっていた


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