桃組プラス戦記

□夢使ヒ
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嘘だと言って、

誰でもいいから、



嘘 ダ ト 云 ッ テ

夢 ナ ラ 醒 メ テ





「嫌ぁぁぁぁあッ!!」



触れる手の温もりが冷たさを帯びていく。目の前に広がる紅い液体は止まることを知らずに惜しみもなく出る。

手で塞ごうと傷口を押さえても指の間から溢れてきて、



「止まって…っ、お願いだから止まってぇぇぇッ!」



叫んでも非常に出てくるそれは、横たわる祐喜から温もりさえも奪っていくのだ。

溢れ出す涙が視界を歪ませる。



「…………泣くな…」



先程まで動くことのなかった祐喜が目を虚ろに開けて雪代の頬に震えた手をやり涙を拭う。

触れたところには自身の血がついてしまったが、祐喜はそれよりもただ涙を拭うことに専念した。



「良かった…!祐喜様、今すぐ病院に…」


仮面を付け早く病院へ向かおうとすると、仮面に掛けた手に祐喜の震える冷たい手が血から無く重なる。



「い、んだ…も、う…」



ヒューヒューと喘鳴が聞こえ、途切れ途切れの言葉。口角からは紅いそれが垂れる。
瞳は光を失い、虚ろに雪代をジッと見ていた。


これはもう手遅れなのだと、これが最後だという兆候だ。
それを祐喜自身、分かっているのだろう。
鬼にやられた傷は大きくて痛いはずなのに、笑顔で最終を迎えようとしている。



「…ごめ、ん、な……守れ、なくて」



「何を仰っているのですか!守れなかったのは…私たち、なんです…っ」



涙を拭ってやりたいが、もう力が入らないようで。
せめてもと横に首を振る。



「不幸体質、だから、幸せに…なりたいと、思ってたけど…」



時折咳をして、その度に祐喜から力が抜けていく。
もう喋らないで、と雪代が言っても未だに祐喜の傷を押さえている手に触れて微力な力で指を動かし握って言葉を進めた。



「も…う、幸、せだったん、だな…」



「祐喜…様……ッ」



「お前たちに会って…幸せに、なれ……た」



だんだん声が掠れて風の音に掻き消される。

そして目を閉じる瞬間、声が出ないものの、口の動きだけでたしかにこう言ったのだ。


















「ありがとう」


















と―……。



そして完全に冷えた身体は力を失い、雪代の手に重ねられていた手が地面へと崩れ落ちた。











 
 





(誰か、此れは夢だと云って)





あとがき

初の死ネタ。
よく分からない←





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