桃組プラス戦記

□想いの行く末
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60年に一度しか生まれることのない純粋なきじの獣基である雪代。

幼い頃から目覚め今か今かと自分の主、桃太郎の生まれ変わりを待ち続けていた。
出逢えたら役に立つのだと日々努力をしてきた彼女は、その努力すら虚しくも宛にできぬ悩みを抱えていた。



「はぁ……」



授業中とはいえ、今は教師のいない自習時間。
いつものマイペースな雰囲気ではなく、ただ溜め息をつくばかりで先程からシャーペンの芯先をコツコツと真っ白なノートにつついている。

こんなとき、いや、いつだって雪代の頭の中には祐喜でいっぱいで本当だったらとても安堵出来ることなのに今は頭を抱える始末。
それもそうだろう。


何せ雪代は初めての恋、初恋を自覚してしまったのだから。
しかも、その相手がずっと慕ってきた主だったわけで葛藤を繰り返しているのだ。




「……私はどうしたら…」



本来獣基は主を護るためにある。
それゆえに純粋な獣基として教育されてきた雪代は恋心と自身の役目の間で揺らいでいた。


先程まで真っ白だったノートには無意識のうちに【祐喜様】と書いてしまっていることに気づきいつもの鼻血を大噴出。

目の前がぐらりと歪んで景色が反転して見えた。











「ここは……」



「お、気がついたか!」



目をゆっくりあけると第一に白い天井が目に入り、目線を声のする方へ向ければ何やらぼやけて見えぬ物が。

気だるい腕をぼやけているそれに触れさせると温かくて、自分の手に何かまた温かいものが重なる。



何だろうとそれをジーっと見ているうちに目が慣れたのかだんだん焦点が合い鮮明に見えてくると同時に、雪代はうっすらと開いていた目を大きく見開かせ再び鼻血を出した。







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