---The day on which the dangerous love--

「さっさと働け〜〜〜!!」

うるさいほどに響く船長の声。
船長。
そう、俺は海賊なのだ。
海をずっと渡り、どこかでおりては騒ぐ。
その街の人と慣れ、友情が芽生え始めたころに出て行く。
いつもそればかり。

船長なりの気遣いだ。

今回おりたのは、星華街。
人口のほとんどが男だという。
女はあまり見ないらしい。
だが、噂によるとある日一人の女がきて、この街を仕切ったらしい。
気が強く、腕力もあるらしい。

そんな奴に俺はなぜか会いたいと思ってしまった。
普段は女などに興味をもたないはずの俺が。

「まぁ、いつものように自由行動だ。
 昼飯は船で食べるから、戻ってくるように!!解散!!」

うちの船は他の船とはちがい、かなり自由である。
縛りは少ない。
ただ、言われたことをしていないと海を泳がされるだけで。

「暇…。」

「すいませーん。」
「ん?」
「あの、イツキ号の人、ですか?」
「そうだけど、何?」
「…。船長さんに挨拶をしたいのですが、連れて行ってもらえませんか?」

「いいよ、アンタ、名前は?」
「鮎沢美咲です。呼びたいようにどうぞ。」
「鮎沢…。俺は碓氷拓海。」
「碓氷さん、ですか。」
「じゃ、こっちだから。」

なぜかこんなに少ない会話をしただけで胸が高鳴った。
運命、というものだろうか。

強気な目、凛とした姿勢。




今日は、危険な恋をした日だ。



---続く---


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