非公開用

□逃走姫C
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(エリカside)
--ガシャン
「・・・?」

「すいません、この辺でこのような方を見かけませんでしたか?」
「いえ、そのようなお方は見ていません。」
「そうですか、ありがとうございました」

黒いような色のスーツ。
きっちりとした格好に、ミサちゃんの住んでいたところの人なんだと思った。
ボディガードか何かだろうか。

聞かれたときに見せられた写真…。
あれは、間違いなくミサちゃんだった。
でも、藍色のドレスを着たミサちゃんは私達の知ってる人じゃなかった。
凛とした雰囲気。
厳しい目つき。
私達の知ってるミサちゃんは、可愛くて優しくて、不器用で、恥ずかしがりや。
でも、あの写真にはそんな部分は一つも無かった。

「ミサちゃん…。」

本当に、お姫様だったんだね。
今でも信じられない…。
ううん、信じたくない。
どこか、遠くへ行ってしまうような気がしてならないから。
ゴメンね。
ワガママなの。
遠くへ行かないで…っていう、ワガママ。


先輩なんかじゃない。
ただ、さみしいだけだから。


「エリカさーん!」
「ミサちゃん!どうかしたの?」
「あの、さっき、話しかけられてましたよね、あそこで…」

「あ、あぁ…。うん、話しかけられたけど…どうかしたの?」
「その人、顔、覚えてますか?」
「顔?えぇ、なんとなくなら・・・。」
「じゃぁ、これ、○つけて置いてください」
「オッケー!」
「すいません!じゃぁ、これで!」

走ってきたのだろうか。
息を切らしつつも、言いたい事を言っていた。
渡されたのは、名簿?
ボディガードなどの名前と写真が載っていた。
1ページ目には「鮎沢家」と書かれていた。

その文字をみて、先ほどスカートを翻して帰っていったミサちゃんが思い浮かぶ。

「ぁー、考えてもしょうがないや!
 もどろう!」



もう、考えるのも面倒くさくなった私は自分の部屋へ戻ることにした。


なにかが、吹っ切れた気がした。


----end----

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