非公開用

□逃走姫A
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「美咲様ーーっ!美咲様ーーっ!
 伝言がありますっ!!」

戻ろうとしたとき、聞こえてきた。

『伝言』?

誰からだよ、そんなの。
父上?
母上?
紗奈?
早く帰って来いとか?
そんなの、聞きたくも無いな。

「忠告がありますっ!!」
「はぁ、粘り強いやつだ…。」

何度も何度も叫ばれてはこっちが迷惑だ。
『帰れ』それだけを言おう。

「さくら」
「み、美咲っ!!」
「忠告って?」
「この家からは出てはいけません。
 それと、父上がもうすぐ美咲様を探す部隊を出します。
 くれぐれも、この家から出ぬように。」
「出ないつもりだ。」
「それから、これを…。」
「ネックレス?」
「それを、この庭に出るときにつけてください。
 美咲様は決してネックレスをつけませんので、それでごまかせると思います。
 それでは、失礼致します」
「あぁ…」

さくらがくれたネックレスはきれいな赤色をしていた。
私が持っていたものではない。
買ってきたのだろう。

父上が、私の存在に気づいた…。
もう終わりだな。
見つかれば連れて帰られる。

また、見合いとか、行事とか…。





「もう、イヤなんだよ…。
 クソッ」



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