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□逃走姫A
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「こうしてみると、ここも大きい」
「まぁ、ね…。」
「ん?何か、変なこと言ったか?」
「いや…。そうではないんだけど…。
 俺には美咲の家のほうが大きい気がするしなぁって…」
「んー、まぁこの家が二個分くらいだからな…。でも、この家のほうが狭くて落ち着く。」
「そう…。」

碓氷の家は、始めてきたときは引っ張ってこられたためにあまり見れなかった。
ただ、『来たことがあるような家…』そう思った。
碓氷と幼い頃にでも遊んだのだろうか?
それとも、見た、とか?
ま、どうでもいいか。

まずは自分のことだ。
『逃走姫』の私のことだ…。

「美咲、隠れて」
「ちょっ!!」

「あれ、美咲の知り合い?」
「……。ぁ、私の専属メイドだ」

「ぇ、忘れてたの?」
「…会ってなかったし…」

碓氷の家の門の前で、「美咲様ーー!美咲様ーー!」と呼ぶ声がする。
私のメイドの名は『さくら』
いつも仲が良くて、私をかばってくれたりもした。
幼い頃からずっと一緒だ。
でも、私が逃げたことに気がついて探していたのだろう。
服は泥まみれだった。
所々、破けている。

遠くからでもわかるようなほどに…。

「戻ろう、碓氷」
「いいの?」
「いいんだ…。」


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