非公開用

□逃走姫
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「痛いっ!痛いですっ!!」
「もうっ!折角きれいな顔立ちやスタイルなんだから、身だしなみもきちんとしなさい!!
もったいないでしょ!」
「ひゃっ!」
「ほら、体もこんなに汚れてる!!」
「ちょ、まっ、ひゃぁっ!」

私は鮎沢美咲。
行くところも無く、何もすることも無いのでただぼーっと歩いていた。
いつ家を出たのかなんて、忘れていた。
昨日なのか、今日なのか、1ヶ月前なのか、何もわからない。
そんなとき、一人の女性とであった。
その人の名は『さつき』
碓氷家に仕えるメイド長なんだとか。

そしてさつきさんは私を碓氷家に連れてきた。
風呂に入れられ、今の状況になる。

「美咲ちゃん、だったわね」

ドライヤーをしながらさつきさんが声をかけた。

「は、はい」
「家出、したの?」
「…まぁ、そんなとこです」
「そう。
 ねぇ、あなたここで働かない?」
「働く?」
「ここのメイドになるの!
 行くところがないなら、そうしない?」

今の私の状況には好都合の話だった。
行く当てもなく、ただ逃げていた私にとっては…。

身元もわからない私でもいいのなら…

「いいですね」
「働いてくれるの!?」
「えぇ、いいですよ。」


でも、ここもいずれはばれる。
少しの間だけ。

「少しの間なら。」




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