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□“閉じた光”は眩しい
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夜が更けた。
昼間に出陣した仲間達はまだ帰ってこない。
不安にかられながらも、私は負傷者達の手当てをしていた。
……大丈夫。
生きて帰ってくるって約束したんだから。
帰ってきたら、いっぱい、いっぱいお祝いしてあげるんだ。
そう自分に言い聞かせて、平静を保たせていた。
「丹波、もう大丈夫じゃ」
包帯を巻き終わり、ボーッとしている私に坂本が声をかけてきた。
『あ、ごめん。他は平気?』
「何、こんな傷、何ともない。心配してくれてありがとうのぉ」
『いや、これくらい…』
笑って首を振った。
それを見た坂本は、優しく微笑んで言った。
「奴のことが心配でならんのじゃろう?大丈夫じゃ。アイツはそう簡単にやられる奴じゃないき。帰ってきたら宴会じゃあ!」
陽気に笑ってみせる坂本。
少し、気持ちが楽になった気がした。
『ありがとう、坂本……』
そんな時だった。
顔面蒼白のヅラが慌てて野営の中に入ってきた。
弾んだ息を急いで整えようとするヅラ。
「……どうした」
中に居た高杉が尋ねた。
ヅラは一呼吸入れてから話し出した。
「…今しがた、偵察部隊から連絡が入った。昼に出陣した隊は、敵軍と共に全滅したらしい………」
「な、なんじゃと…!じゃあ!」
座っていた坂本が立ち上がりヅラに向かって叫んだ。
ヅラは静かに目を伏せている。
私は手にしていた包帯を落としてしまった。
………え…?
嘘、今、何て……?
「東へ勢力を伸ばしてきていた敵軍を倒すことが出来たんだ。皆、彼らの奮闘を称えよう」
ヅラは額当てを取り外し、それを握り締めて祈るように目を閉じた。
嘘だ。
嘘だ嘘だ嘘だ!
死ぬはずない。
銀時が死ぬはずない!
私は堪らず野営の外へ飛び出した。
「待て、丹波!今、お前が行っても……!」
私を止めようとする高杉の声が聞こえてきたが、そんなこと聞き入れられない。
私は夢中で闇の中を走った。
銀時、銀時……っ、銀時…!
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