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□嘘を吐いても欲しい物ってあるよね
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『あーあー、まーた怪我してきたー』


「うるせェなァ。怪我したくてしたわけじゃねェよ」


仕事で出掛けた銀時を待ちながら万事屋の店番をしていた私。


やっと帰ってきたと思ったら、傷たらけの銀時が玄関に居た。


何度か同じような事があったから見慣れてしまったが、やはり心が痛い。


何故、私の恋人がこのような事になるの。


『アレ、新八君と神楽ちゃんは?』


「あの2人も軽く怪我したから、お妙の所に行かせた」


痛゙ダダダと言いながら家に上がる銀時を支えながら、和室へ向かった。


布団を敷き、そこに銀時を寝かせる。


私は救急箱を取り出し、枕元に座った。


『えーと、で?今日はどこやったの?骨は折れてない?』


「骨は大丈夫」


『ホントにィ?』


「ホントだよ!感覚で分かるし。えーっと、左脇腹と左腕の肉斬られた」


言われた場所を見ると、確かにそこは他の場所より出血が多いようだ。


『服脱げる?』


「無理。脱がして」


仕方なく、上半身を起こさせ、左側の袖を脱がして半裸状態にさせた。


傷を見ると、以前負った物と比べたら浅いが、酷い傷には変わらなかった。


が、


『銀時。銀時ならこの位の傷で動けなくならないよね?』


「あ、バレた?」


やっぱり。


「やっぱ、彼女には甘えたいじゃな〜い?」


『うっさい、キモい』


ペシッと腹を叩く。


「痛゙ェ!怪我してるからね!軽いかもしれないけど、とりあえず傷付いてるからね!俺!」


叫ぶ銀時を無視しながら、消毒液で濡らしたティッシュで血のついた身体を拭き、傷口を消毒した。


傷口を触れる度に指に伝わる感覚。


銀時は時々眉間に皺を寄せる程度以外、特に大きな反応はしない。


けど、私はこの感覚が恐ろしくてたまらない。


今回は平気だったけど、次は無事にいられるだろうか………


そう思えて仕方がなかった。


「なァ、美咲ー?」

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