銀色の心と共に
□No.9
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モゴモゴと歯のない口を動かす老人。
慌てて着替えた銀さんと神楽、私、そして出勤(?)してきた新八は、老人と対面するように並んでソファに座った。
因みに、私が今着ている服は、吉原篇の時に使ったのであろう、女装用の着物。
七五三で着て以来初めての着物が、まさかこんな形になるとは………
気を取り直して、本題の老人の方に目を向ける。
「………えーと、あの…今日は何の用で?」
紅桜篇の冒頭のエリザベスのシーンを思い出す。
けど、今回はすぐに答えが返ってきた。
「これ……探してほしい」
老人はゆっくりと懐から写真を出した。
銀さんがそれを受け取り、みんなで顔を合わせてそれを見た。
「何コレ」
「…わしの……ペット」
「はぁ…」
曖昧な返事をする銀さん。
小さな声で話し始めた。
「ねェ、何コレ、犬?」
「耳が長いからウサギじゃないですか?」
「いいや、ウサギはこんな目してないネ。身体ももっとふわっふわアル」
『猫…?にしては鼻がブタみたいだけど…』
「えーと、要するにコレ、えいりあん?」
銀さんは老人に向かって尋ねた。
「……いや………地球産」
ゆっくりゆっくり話す老人。
私達はそれを聞いて、即、写真に目を戻した。
「ウソ、ウソ、コレ、えいりあん以外の何だっての!?」
「こんな生き物、地球にいるんですか!?」
「もう何を飼っているのか分からないアルヨ」
『お、おもしろい動物だなぁ…』
各々が感想を述べていると、老人がまた話し出した。
「それ…ウサギ、と……猫…の、雑種、と………犬と…ミ、ミニブタ……の…雑種………の雑種」
「タラタラ長ェェェ!!しかも何そのミックスペット化!!」
堪らず銀さんがシャウトした。
どうやら、老人のペットは様々な種類の動物のハーフのハーフ=地球産らしい。
「えーと…大きさはどれくらいですか?」
苦笑しながら新八が尋ねた。
「こ、これ、くらい」
老人は手振りで大きさを表した。
普通の猫と同じくらいかな…?
「あー、はい、分かりました。我々で探します。この写真借りますよ。で、おじいちゃん、見付けたら何処に連絡すれば良いんだ?てか、金あんの?」
銀さんが頭を掻きながら聞くと、老人はまたゆっくりと懐から写真を出した。
「こ、ここ……」
その写真は、家の門前で撮った家族写真だった。
よく見ると……
「あ、ハム子アル」
そこには、ガングロ化粧でイラッとくる笑顔をこちらに向けるハム子…もとい公子がいた。
「…嫌な予感がするんですけど」
新八が静かに言った。
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