銀色の心と共に

□No.7
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「《俺人見知りするんで、みんなから話し掛けてくれると嬉しいです》とか《俺趣味がコレなんで、声掛けてください》とか新学期の自己紹介で嬉々としゃべってる奴等。来年からお前達死刑。毎年毎年、何回同じ事言ってんだよ。そんなネタはな、もう何万年も前から新学期と人見知りが誕生した時から使い古されてんだよ。輪廻転生してんだよ。もうメンドくせーんだよ。そこでプチ友達募集広告掲載すんのは。うっとーしーんだよ。そんな紹介しながら《こう言っとけばすぐ友達出来るだろ》的な安い安心感を抱き続けてる連中が。もうウンザリなんだよ!自己紹介なんて建前だけのくだらねェ悪習そのものが!!もうみんなで一斉にやめるべきだろ、こんな茶番!来年から自己紹介した奴、全員死刑でファイナルアンサー!?」


「銀さん、長々と話しておきながら何言ってんですか。てか、随分昔のネタ引っ張って来ましたね」


新八が静かにつっこんだ。


「いやさぁ、自己紹介なんてこの際メンドくせーから、いきなり《よろしくっ》じゃダメかな、と」


「ダメも何も、初対面ですよ?少し位説明してくれても…」


現在、万事屋の居間兼事務所のソファに銀さん、新八、神楽、私が座っている。


私がこれからこの万事屋と共に生活していく事を説明する為に。


「説明なぁ……」


銀さんは、頭をポリポリ掻くと、通常モードからシリアスモードへと顔付きを変えて話し始めた。


「コイツはな、ここ最近、俺達の想像を絶するような酷い状況下で過ごしていたんだ。ここまでに至った経緯は、話すのも拒まれる。けど、コイツはそれに堪えてきた。今はそれが限界になり俺達の所へ来たが、コイツは精一杯生きてきた。“頑張った”と褒められるのは素直に嬉しいが、同情されるのは嫌なんだそうだ。だから、オメーらには余計な事は言わねェ。特に新八、オメーは絶対同情して気を使う。コイツは月詠以上に強がりだ。気ィ使い役は俺だけでやる。そういうことだ、分かったな」


またまた長々と喋る銀さん。


私は笑った。


こんな大嘘、よく思い付くなぁ。


下を向いて頑張って笑いを堪えていると、その様子を見ていた新八、神楽が悲しそうな顔をした。


きっと、私が泣いていると勘違いしたんだろう。


それを見ていたら、ますます可笑しくなっちゃって、お腹が苦しくなった。


あ、ホントに涙出てきた。


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