連日の猛暑とバッドタイミングでダウンしたクーラー。窓を開けても風さえ吹かない熱帯夜で寝る羽目になるとは考えもしなかった。やはり直を送って行くべきだったと秋山は後悔した。

寝ているだけで素肌を汗が伝う。快適な性格に慣れた体は眠れない、何とかしろと訴える。

「直、悪い」

自宅に帰れていたら今頃快適な部屋で眠れていただろう。秋山は直の柔らかな髪を撫でて起き上がった。

汗で濡れたシャツをベッドの下に落として、水でも飲もうと立ち上がりかけた背中をそろそろと這う直の華奢な指先。
汗の雫を追い掛けて背骨のラインを上から下へ…予期せぬ直の行動に秋山は一瞬呼吸を止めた。

秋山の引き締まった腹部に腕を回して、細い顎先を肩に乗せる。

「直?汗かいてるからくっつくな」

直はスルリと顎先を移動させて、首筋に触れるだけのキスをする。

「私も……汗だく…です」

直は舌先で伝う汗の雫を追い掛けて、そのすべらかな肌を堪能する。ピクリと震える秋山が愛しくて、本人には見れないお尻と腰のギリギリのラインを鬱血するほど吸い上げた。

「な…お?」

「………見ないで下さい」

直が珍しく強い口調で秋山を拒絶する。見るなと言われれば見たくなる。修行が足りないと言われようが、どんな直も知りたかった。

振り返ったそこには、薄明かりに煌めく灼熱の視線。トロリと欲をはらんだ瞳は、普段頼りなく可愛らしい少女を女に見せるには十分な強さがあった。

秋山は下腹部に知らずに力を込めた。彼女の熟れた視線一つでドクリと心臓が騒ぎ出す。

どれだけ神崎直に溺れているのか。


鼻先がちょんと触れる。直は秋山の形の良い鼻先に口付けて、微笑むと柔らかな唇にそっと舌先を伸ばした。

触れるだけから互いの唾液まで貪り合う深いキスへと。どうせ眠れないのなら互いの滴る汗を舌先で味わうのも良いかも知れない。秋山は直のパジャマを乱暴に脱がせながらそんな事を思った。





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