秋山さんの声が好き。指先が好き。長身をちょっと丸めて立つ姿が好き。私に歩幅を合わせくれる優しさが好き。

赤い林檎が揃ってもそのぬくもりは手放せなかった。秋山さんの側に居たのは、ほんの少しの間なのに…麻薬中毒者の様に溺れてる。

「秋山さんは…ずるいです」

私ばかりこんなに好きにさせて、ずるい貴方はまたフラフラと私の前から居なくなるかもしれない。

「直?」

急に立ち止まった私を怪訝そうに振り返って、綺麗な指先で早く来いと呼ぶ。

私はにっこり笑ってはい。と返事をした。

『今だ』

また背中を向けて歩き出す秋山さんに指先で作った拳銃を向け、引きがねを引く。

不安を撃ち…ずっと側に居てくれる様にと。

「バン」


弾倉に愛を込めて





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